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「ネットで形態」 マンスリー形態マガジン

問題

第63回
問題 1
骨髄の細胞同定を行なって下さい。



問題 2
検査データと末梢血液像より考えられる疾患何ですか。

【2歳.男性】
痙攣性の咳発作と嘔吐で来院する。微熱あり。
WBC50,860/μL、RBC476万/μL、Hb12.8g/dL、Ht43.8%、PLT38.5万/μL、
CRP1.4mg/dL
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今回のねらい

細胞同定では、骨髄像における細胞同定に挑みます。
骨髄でみられる各種細胞を提示してみました。
類似した細胞については鑑別のポイントを考えてみて下さい。
症例では、検査データをヒントにして末梢血、骨髄像から考えられる血液疾患に挑んで下さい。
今回も選択肢がありませんので類似細胞や鑑別疾患を挙げながら考えてみて下さい。



解説

問題 1

(正解と解説)
骨髄の類似細胞を提示しました。

【正解】

(case A) 1-多染性赤芽球、2-単球、3-桿状核球、4-分葉核球
(case B) 1-細網細胞、2-幼若好塩基球、3-単球
(case C) 1-造骨細胞、2-前骨髄球?、3-多染性赤芽球
(case D) 1-リンパ球、2-前赤芽球、3-単球

【解説】

(BM-MG ×1000)



A1.細胞径は13μm大、核は円形でやや偏在し、クロマチンの凝集塊がみられ、細胞質が多染性のことより多染性赤芽球に同定しました。A2.細胞径は28μm大、核は類円形や核形不整がみられ、クロマチン網工は繊細、細胞質は灰青色で一部空胞がみられることより単球に同定しました。A3.とA4.は好中球ですが、3.は核にくびれがなく湾曲しているようなので桿状核球、4.はくびれが不明ですが、僅かな核のうねりとクロマチンの結節の強さから分葉核球に同定しました。

B1.細胞径は35μm大の大型、細胞質の不鮮明さやクロマチンにはやや繊細さがみられることより細網細胞に同定しました。B2.細胞径は18μm大で、成熟好塩基球(10μm〜15μm)と比較しても大きい。
核は平坦状で不整がみられ、黒紫色の粗大顆粒がみられることより幼若好塩基球に同定しました。B3.細胞径は18μm大、桿状核球に類似しますが、それに比べクロマチンの繊細さと細胞質の灰青色より単球に同定しました。

C1.細胞径は40μm大の大型、細胞質の不鮮明さと核の偏在性が特徴です。
形質細胞に類似しますが、その核は今にも細胞質から飛び出そうとしていたり、ゴルジ野が核から離れた位置にみられることより造骨細胞に同定しました。
C2.細胞質が不鮮明で核質がしっかり掴めません。大きさから前骨髄球あたりを思わせますが、もしそうであれば壊れる寸前のものかも知れません。
3.細胞径は11μm大、核は円形でやや偏在、クロマチンの凝集塊がみられ細胞質は多染性の色調より多染性赤芽球に同定しました。

D1.細胞径は33μm大、核はほぼ円形で中心性、クロマチンは粗網状、細胞質は好塩基性が強く、1時方向には舌状の突起物がみられることより前赤芽球に同定しました。D2.細胞径が13μm大、核はやや偏在性、クロマチンは一部凝集状がみられ、細胞質がやや淡青色よりリンパ球に同定しました。
D3.細胞径は23μm大、核形不整が強く、クロマチンは繊細で、細胞質は灰青色であることより単球に同定しました。


問題 2

(正解と解説)
2歳男児で、痙攣性の咳発作で来院されました。咳は3週間ほど持続していました。白血球数の増加はリンパ球が優位で、形態は正常型を呈していました。微熱がみられ、CRPが1.4mg/dLとやや高値を示していました。

【正解】

百日咳菌による細菌感染症

【解説】

(PB-MG ×1000)

【末梢血所見】
増加する白血球数(60,860/μL)の分類ではリンパ球が65%(39,559/μL)と著増し、他に異型リンパ球が9%みられました。リンパ球は中型で、クロマチンは粗荒で細胞質は淡青色を呈していました。

【特殊染色所見】
末梢血のPO染色、PAS染色、EST染色は全て陰性でした。

【予備診断】
小児の痙攣性の咳発作や微熱、また成熟リンパ球の増加より百日咳菌感染症を疑い、確定診断のために百日咳菌の分離同定検査や百日咳菌凝集素価の検査を依頼することになりました。
またウイルス抗体も除外診断のために行いました。

【追加検査】
百日咳菌抗体:東浜株10倍未満(正常は10未満)、山口株80倍(正常10未満)
Bordetella pertussisの検出、抗VCA-IgM抗体(−)

【診断】
小児で継続的な咳発作の症状と成熟リンパ球の増加がみられ、百日咳菌抗体の検出では山口株が陽性、また百日咳菌が証明されたことより百日咳菌の細菌感染症と診断されました。
発熱時にCRPの上昇は細菌感染が疑われることが多いため重要な所見かも知れません。
高齢で持続性のリンパ球増加(5,000/μL以上)は慢性リンパ性白血病(CLL)を疑うことになりますが、この場合多くはB細胞のクローン異常を認めます。



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