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「ネットで形態」 マンスリー形態マガジン

問題

第64回
問題 1
骨髄の細胞同定を行なって下さい。



問題 2
検査データと末梢血液像より考えられる疾患何ですか。

【6歳.男性】
(主訴) 発熱、全身倦怠感  (現症)扁桃腺腫脹
WBC13,100/μL、RBC491万/μL、Hb13.3g/dL、Ht40.3%、PLT20.4万/μL、CRP1.0mg/dL、NCC15.5万/μL
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  • PB-MG×400
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  • PB-MG×1000
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  • BM-MG×400
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  • BM-MG×1000





今回のねらい

細胞同定では、骨髄像における細胞同定に挑みます。
骨髄でみられる各種細胞を提示してみました。
類似した細胞については鑑別のポイントを考えてみて下さい。
症例では、簡単ですが検査データをヒントにして末梢血、骨髄像から考えられる血液疾患に挑んで下さい。
今回も選択肢がありませんので類似細胞や鑑別疾患を挙げながら考えてみて下さい。



解説

問題 1

(正解と解説)
骨髄の骨髄系細胞を提示しました。

【正解】

(case A) 1-桿状核球、2-後骨髄球、3-単球
(case B) 1-骨髄球、2-桿状核球、3-分葉核球、4-分葉核球
(case C) 1-前単球、2-骨髄球
(case D) 1-前骨髄球、2-前骨髄球、3-骨髄芽球、4-多染性赤芽球

【解説】

(BM-MG ×1000)
A1.細胞径は13μm大、核は湾入気味で棒状、クロマチン結節は軽度にみられることより桿状核球に同定しました。
A2.細胞径は14μm大、核には陥没がみられ、核幅の狭い短径が広い長径の1/3以上であり、赤橙色の細胞質には小さな顆粒(二次顆粒?)を認めることより後骨髄球に同定しました。
A3.細胞径は16μm大、核形はほぼ円形で小さな不規則性(○印)がみられ、核網工は周囲の核質に比べやや繊細、灰青色の細胞質は豊富で不規則性、空胞もみられ単球に同定しました。
(BM-MG ×1000)
B1.細胞径15μm大、核形はほぼ円形で核網工は粗剛、細胞質は豊富でやや好塩基性、顆粒は小さく二次顆粒と思われます。核周にゴルジ野を思わせ、一見前骨髄球を思わせますが、それに比べ細胞は小さく、二次顆粒の出現より骨髄球に同定しました。
B2〜4.細胞径13μm大付近で、桿状核のものとくびれが顕著な分葉核のものがみられます。
クロマチン結節は2.よりも3.と4.ほど強いことより、桿状核球(2)、分葉核球(3・4)に同定しました。
(BM-MG ×1000)
C1.細胞径は17μm大の大型、核形不整がみられ、核網工は繊細気味で核小体を認めます。
好塩基性の細胞質には微細なアズール顆粒が充満しているようです。細胞質の5時方向(○印)には本細胞に特有な二重構造がみられ、核に分葉傾向がみられないことより幼若単球(前単球)に同定しました。
C2.細胞径は14μm大、この種にしては小型、核形はほぼ円形で、核網工は粗剛、細胞質には小型顆粒(二次顆粒?)を認めることより骨髄球に同定しました。通常より小型ということは細胞分裂直後の細胞にも考えられます。
(BM-MG ×1000)
D1.細胞径18μm大の大型、核は偏在傾向にあり、核網工は粗網状で核小体を認め、好塩基性の細胞質には僅かながら顆粒を認めるようです。3.(骨髄芽球)に比べると分化傾向にあることより前骨髄球に同定しました。
D2.細胞径16μm大、核形不整が軽度にみられ、核網工は粗網状で核小体を認め、好塩基性の細胞質にはアズール顆粒を認めるようです。1.に比べると大きさはやや小型ですが、全体像は類似した所見であることより前骨髄球に同定しました。これも細胞分裂直後の細胞かも知れません。細胞分裂直後は2Nの細胞が2個になることから小さくなることが予測されます。
D3.細胞径14μm大、核は周囲の赤血球に押されてやや小さくなっているようです。
核網工は繊細で核小体を認め、細胞質の好塩基性は核周囲に弱く、細胞質辺縁ほど強くなることは本細胞の特徴です。その細胞質には顆粒を認めないことより骨髄芽球に同定しました。
(正常と思われる芽球はアズール顆粒は認めないとされます)
D4.細胞径10μm大、核と細胞質の境が不明で核は濃縮気味ですが、僅かにみえる細胞質は多染性の色調がうかがえることより多染性赤芽球に同定しました。


問題 2

(正解と解説)
6歳男児で、発熱と全身倦怠感で来院されました。現症として咽頭、扁桃の発赤や発熱、頸部リンパ節腫脹また肝脾腫を認め、これは10日ほど続くものでした。末梢血に異型リンパ球(?)が23%みられたため、精査のため骨髄穿刺が施行されました。A.B.が末梢血液像で、C.Dが骨髄像です。

【正解】

伝染性単核球症 Infectious mononucleosis(IM)

【解説】

(PB-MG ×1000)

【末梢血所見】
貧血はなく、血小板も正常で、増加する白血球数(13,100/μL)の分類では、St-Segが33%、リンパ球が33%(4,323/μL)で、異型リンパ球(?)が23%みられました。それらは大型で、N/C比は低く、クロマチンは粗荒で細胞質は淡〜濃青色で、異常リンパ球とは異なる所見でした。

【骨髄検査】
正形成で正常クローンは確保され、末梢血にみられた異型リンパ球は13%みられました。

【他の検査】
AST 64 IU/L、ALT 82 IU/L、LD 542 IU/L、CRP 1.0mg/dL、抗VCA-IgM抗体(+)、抗EA-IgG抗体(+)抗CMV-IgG抗体(−)、抗百日咳菌抗体(−)

【染色体検査】
46,XY [20]

【診断】
小児で末梢血の異型リンパ球が23%みられ、咽頭・扁桃の発赤や発熱などが10日間継続したことより通常の感冒は否定され、EBウイルス(EBV)やサイトメガロウイルス(CMV)の感染症が考えられました。
本例は主治医が偶然にも骨髄穿刺を施行したもので、通常ではまず行なわれないものです。
骨髄穿刺によって、軽度の核形不整を有する異型リンパ球(→)が異常リンパ球にも見えたりする可能性もあり診断を迷わせることも起こりそうです。本症は発熱(咽頭痛)・リンパ節腫脹・肝脾腫、末梢血の異型リンパ球の出現、肝機能障害、抗体CMV-IgG抗体(−)、抗VCA-IgM抗体や抗EA-IgM抗体が陽性よりEBVの初期感染として診断されました。ちなみに、EBVの抗EBNA抗体と抗VCA-IgG抗体の陽性は既往感染を意味すると言われます。
小児では不顕性感染、成人ではキス(アメリカでは“キス病” )による唾液交換や飲み物の回し飲みなどで感染すると言われます。形態学的には、まずは末梢血の異型リンパ球の形態をしっかり捉えることが重要であり、その際異常リンパ球との鑑別が余儀なくされます。


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