HOME > 血液検査コーナー > マンスリー形態マガジン > 第64回 問題と解答

「ネットで形態」 マンスリー形態マガジン

問題

第65回
問題 1
骨髄の特殊染色ですが反応態度の判定とそれは何の細胞ですか。



問題 2
検査データと骨髄像より考えられる疾患は何ですか。

【54歳.女性】
約2年前、悪性腫瘍と診断され化学療法施行後、汎血球減少を来たし骨髄穿刺が施行されました。
WBC800/μL、RBC209万/μL、Hb7.5g/dL、Ht22.4%、PLT5.2万/μL
(A:約2年前の骨髄、B:今回の骨髄)
  • 拡大
  • BM-MG×400
  • 拡大
  • BM-MG×400
  • 拡大
  • BM-MG×1000
  • 拡大
  • BM-PO×1000





今回のねらい

 今回は特殊染色における反応態度の判定とその細胞について提示しました。ちなみにPO染色とPAS染色です。
 症例は、臨床経過と検査データをヒントにして骨髄像のMG染色とPO染色から考えられる血液疾患に挑んで下さい。
今回も選択肢がありませんので、特殊染色は系統別の反応所見や症例については約2年前に比べ何が起こっているのかを考えて下さい。



解説

問題 1

(正解と解説)
骨髄の特殊染色の判定と細胞同定に挑みます。
A.はペルオキシダーゼ(PO)染色、B.はPAS染色です。

【正解】

(case A) 1-幼若単球、2-幼若単球、3-好中球、4-好酸球、5-好中球
(case B) 1〜3-リンパ芽球

【解説】

(BM-PO ×1000)
A.はPO染色による細胞同定になりますが各細胞の陽性態度に注目です。
1と2.は幼若単球ですが大型で核分葉がみられないことより前単球かと思われます。単球系のPO活性は前単球から出始めるようで、単球本来は陰性から弱陽性であり、1.は陽性の前単球、2は陰性の前単球と思われます。
3と5.は好中球ですが、3.は陽性で5.は陰性のようです。PO陰性の好中球に関しては形態異常所見として捉えることになります。4.は好中球より顆粒も大きく強く染まっているようで好酸球にしました。本例は骨髄異形成症候群(MDS)にみられたものです。
(BM-PAS ×1000)
B.はPAS染色による細胞同定になりますが、陽性のものはリンパ芽球になります。
注目すべきポイントは凝集状の陽性態度になりますが、この判定法は私案として受け止めて下さい。
1.は“かたまりになった状態”ですので「塊(block)状」として、2.と矢印は“1点としての状態”ですので「点(dot)状」として、3.は“太めの顆粒が核周囲を規則的に配列した状態”ですので「粗大顆粒(coarse granule)状として捉え、これらの陽性は強陽性群としてリンパ芽球に特有なものとして捉えます。細顆粒状については、他の芽球にも染まることがありますので不採用となります。
筆者の経験より小児急性リンパ性白血病(ALL)の約80%にPAS陽性がみられ、それはB細胞性に多くみられます。本例は小児B-ALLにみられたものです。


問題 2

(正解と解説)
本例は約25年前にさかのぼります。約2年前に右乳癌(充実腺癌)として診断され右乳房切除術(根治手術)が施行されました。その後の化学療法として、Mitomycin C、Cyclophosamideが投与され経過観察されていましたが、 定期検査で汎血球減少を来たし、末梢血に異常細胞が出現されたため骨髄検査が施行されました。

【当時の診断】

二次性白血病(腺癌から急性前骨髄球性白血病への転化)

【解説】

(BM-MG ×400)

(BM-MG ×400)

(BM-MG ×1000)

(BM-PO ×1000)

【末梢血所見】
WBC700/μLのなか異常細胞が9%(Seg31%,Ly60%)みられました。それらは、好塩基性の細胞質に突起がみられ、核形は不整でアズール顆粒の出現は少ないようでPO染色に強陽性でした。

【骨髄検査】

A.約2年前の骨髄穿刺にて上皮性結合を呈する細胞の集塊がみられます。それらは、不規則な配列を呈し、好塩基性の細胞質は偏在性の核を有し、クロマチンは密に増量し腺癌由来の細胞が考えられます。

B.その2年後の骨髄穿刺は低形成(8.4万/μL)気味で、細胞質に水疱状の突起物を有し、核形不整がみられ、アズール顆粒の出現が乏しい芽球様細胞が95%と増加していました。アウエル小体は散見され、束状(ファゴット)は僅かにみられました。PO染色は末梢血と同様に強い陽性(ベタッとした染まり)でした。


【他の検査】
凝固・線溶検査では、DICの所見がみられました。

【染色体検査】
15;17転座とPML-RARA遺伝子変異を認めました。

【診断】
末梢血、骨髄に出現した異常細胞はアズール顆粒の出現が比較的少なかったのですが、光顕的には異常の前骨髄球の性格を持ち合わせたものとして急性前骨髄球性白血病(APL)を疑いました。本例は乳癌が先行し、治療薬のアルキル化剤(マイトマイシンC、シクロフオスファミド)が使用されていたことより二次癌として診断されました。WHO(2008)では微細顆粒型のAPLの範疇かと思われます。治療関連造血器腫瘍を起しうる細胞毒性治療として、アルキル化剤による二次性白血病が発生した治療関連骨髄腫瘍(Therapy-related myeloid neoplasms:t-MN)に診断されることになります。



メルマガ登録すれば、毎月お手元に届きます

メルマガ登録はこちらから≫

形態マガジンTOPへ戻る



ページトップ