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「ネットで形態」 マンスリー形態マガジン

問題

第66回
問題 1
MDSの骨髄像ですが細胞同定と所見を述べて下さい。
そして、特異性の高い異形成として診断されるのはどれですか。

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問題 2
検査データと末梢血、骨髄像より考えられる疾患は何ですか。

【60-65歳.男性】
1ヶ月前より膝後部痛が出現し、その後足関節、肩関節へと痛みは拡大した。
20日後、全身倦怠感と食欲低下を来たし来院され白血球増加より入院となる。リンパ節腫脹、肝脾腫を認める。
WBC61,000/μL、RBC341万/μL、Hb9.4g/dL、Ht28.5%、PLT24.1万/μL 
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今回のねらい

 今回は、細胞同定と症例の形態診断に挑みます。
細胞同定は、骨髄異形成症候群(MDS)における骨髄の細胞所見に挑みます。特徴ある形態所見に注目し、診断に高いポイントとなる細胞はどれでしょうか。
症例編は白血球増加症の末梢血、骨髄から形態診断に挑みます。 形態学的特徴はさほど多くないため、除外法にて試みるのも一法でしょう。
 今回も選択肢がありませんので多くの情報から絞り込んで下さい。



解説

問題 1

(正解と解説)
骨髄異形成症候群(MDS)の骨髄にみられた細胞を提示しました。同一例ではありません。MDSは周知のように、後天的に発症するクローン性疾患です。造血三系統には分化過程において成熟障害が起こり、大球性貧血ならびに骨髄では無効造血による血球減少と細胞異形成(形態異常)を伴います。従って、末梢血や骨髄では形態異常をしっかり捉えることが診断への近道になります。

【正解】

(case A) 多核の幼若顆粒球、(case B) 分離多核の巨核球、(case C) 1-微小巨核球、2-巨赤芽球
(case D) 破骨細胞、(case E) 左右非対称核の巨赤芽球、(case F) 1-偽性ペルゲル核異常の好中球、2-芽球

【解説】

(BM-MG ×1000)





A.は細胞径50μm大の大型で分裂異常がうかがえ、核は左右非対称で多核のようです。細胞質に顆粒を有することから幼若顆粒球の核分裂障害が考えられます。

B.は細胞径60μm大の大型で全体像から巨核球を思わせます。大きさから16倍体が推定され、核は円形で濃染状、細胞質にはアズール顆粒を認めます。通常であれば核同士は連結していますが本細胞は離れていることから分離多核の形態異常として捉えます。核は形態異常を呈していますが、大きさや豊富なアズール顆粒を有していることから血小板の産生能を持ち合わせたものと思われます。

C.の1は細胞径20μm大でこの系列ではとても小型で核は後骨髄球様ですが、濃染状で狭い細胞質にアズール顆粒が充満していることから微小巨核球に同定しました。本細胞には血小板産生能はないとされます。
2は1時方向の赤芽球と同様に巨赤芽球を思わせ、核形不整がみられるようです。

D.は全体像が把握できませんが細胞径100μm大の大型細胞が推定されます。Bの多核の巨核球に類似していますが、クロマチン網工の繊細さ、不明瞭な細胞質、大小不同のアズール顆粒などの所見が異なります。分離多核については本細胞の特徴でもあり連結する巨核球とは異なります。本細胞は骨新生時の骨髄穿刺時に骨より剥離されるといわれており、MDSに特徴的なものではありません。

E.は細胞径23μm大の大型で細胞質は多染性の色調で赤芽球を思わせます。左右の核質は明らに異なるもので左右非対称の核分裂異常がみられる巨赤芽球として同定しました。

F.の1は細胞径25μm大の大型好中球です。クロマチンの結節が強度で細胞質には顆粒が抜けているようで、偽性ペルゲル核異常(低分葉)と脱(低)顆粒の好中球に同定しました。2は細胞径20μm大でN/C比はやや高く、核形不整がみられクロマチンは繊細で明瞭な核小体が特徴です。細胞質には軽度の塩基性と空胞を認めます。正常の芽球に比べMDSではN/C比の低い芽球がよくみられ、上述の形態所見を認めればMDSの芽球といっても過言ではないように思われます。

D以外はMDSで遭遇するものですが、特異性の高いものは、C1.の微小巨核球、F1.の脱顆粒・偽性ペルゲル異常の好中球になります。


問題 2

(正解と解説)
本例は、60歳代.男性、白血球の著増(61,000/μL)のもと、末梢血液像では白赤芽球症を呈し、過形成(82.6万/μL)の骨髄は顆粒球系が優位で、それらの多くに低顆粒や偽性ペルゲル核異常の好中球がみられ、一部に小型巨核球の形態異常を認めました。主となる形態異常は顆粒球系であって単球の増加はみられませんでした。

【解説】

(PB-MG ×1000)

(BM-MG ×400)

(BM-MG ×1000)

(BM-MG ×1000)

【末梢血液像所見】
貧血を認め正球性正色素性貧血(MCV83.5fL,32.9g/dL)を呈していました。WBC61,000/μLのもと、幼若顆粒球と赤芽球の出現がみられ白赤芽球症を疑うもので、他に巨大血小板がみられました。
形態像より慢性骨髄性白血病(CML)を疑い検査を進めましたがNAP活性は基準域でした。

【骨髄像所見】 骨髄は過形成(82万/μL)で、M/E比は9.0で顆粒球系の増生が顕著のなか芽球は3%で基準域でした。
顆粒球系は幼若型から成熟型にかけて低顆粒気味で偽性ペルゲル核異常の好中球がみられました。
また、一部に小型の巨核球(矢印)がみられました。

【染色体・遺伝子検査所見】
9;22転座、BCR-ABL1遺伝子変異は認めなかった。

【臨床診断】
白血球著増と末梢血液像の白赤芽球症から腫瘍性疾患が考えられました。骨髄は過形成で顆粒球系の増生のなか芽球の増加はなく骨髄増殖性腫瘍またはMDSが疑われました。
骨髄像では赤芽球系が抑制されていたことよりMDSは除外され、単球の増加はなく慢性骨髄単球性白血病(CMML)は除外されました。後報告となったt(9;22)核型異常やBCR-ABL1遺伝子変異が証明されなかったことからCMLは除外されました。結局、骨髄像の形態異常が顆粒球系に集中していたこととBCR-ABL1遺伝子変異を認めなかったことから非定型性慢性骨髄性白血病 atypical chronic myeloid leukemia(aCML)と診断されました。WHO分類(2008)では骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍に含まれています。
尚、膝痛や全身への関節痛を訴えていましたが白血病細胞の増殖によるものと思われよく経験します。
ただ、2歳頃の子供の膝痛は成長痛とも言われますので、小児白血病では腫れや熱感また手や背中への痛みの広がりを呈するようであれば腫瘍を前提に考えることになりそうです。



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