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「ネットで形態」 マンスリー形態マガジン

問題

第68回
問題 1
次の特殊染色が意味するところの全てを考えて下さい。

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  • BM-PO×1000
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  • BM-PAS×1000
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  • BM-Fe×1000
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  • BM-PAS×1000



問題 2
検査データと末梢血、骨髄像より考えられる疾患何ですか。

【40-45歳.男性】 
主訴:全身倦怠感、貧血
WBC2,400/μL、RBC219万/μL、Hb6.9g/dL、Ht21.5%、PLT6.4万/μL、NCC45.4万/μL  
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  • BM-MG×400
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  • BM-MG×1000
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  • BM-MG×1000
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  • BM-PAS×1000





今回のねらい

 今回は、細胞化学染色と症例の形態診断に挑みます。
細胞化学染色は反応所見を如何に捉え、どのような疾患に応用されるかを検索してみます。
   症例編は末梢血の汎血球減少症と骨髄有核細胞の増加から形態診断に挑みます。MG染色とPAS染色から形態診断のポイントはどこにあるのかを考えながら検索を進めてみて下さい。
   今回も選択肢がありませんので多くの情報から絞り込んで下さい。



解説

一口情報

 特殊染色は、自家製によるもの(自家製法)と市販のキット製品(キット法)があり、それぞれを単独にまたは併用して日常の検査が行われます。
   両者とも現法に従ったものではありますが、キット法は試薬の調整などを簡易化したものになります。
   特殊染色の基本は、基質と発色剤(ジアゾニウム塩)を巧みに組み合わせたアゾ色素法が好んで使用されていますが、そのなかでもう一つのコンセプトは対比染色です。対比染色とは、終末反応を見やすくするために工夫されたもので、多くは後染色が担当します。すなわち、終末反応が青色であれば核は赤色に、赤色であれば青色に染め、陽性態度の感度を上げるための染色です。
   自家製法やキット法にはそのような工夫はなされているので今さら改良する必要はありませんが、PAS染色については検討の余地があるようです。
   我々は従来からPAS染色の対比染色として、ギル・ヘマトキシリン染色後に飽和炭酸リチウムで処理することで鮮やかな赤色を産み出す工夫を行っています。
   急性リンパ性白血病(ALL)におけるリンパ芽球の点状(dot)や塊状(block)は、キット法より鮮明な赤色を醸し出してくれます。

問題 1

(正解と解説)
   今回は特殊染色による判定に挑戦します。日常よく使用されるPO染色、PAS染色、鉄染色、PAS染色を取り上げました。陽性、陰性の判定は勿論のこと、それが何を意味しているかについて考えてみましょう。
   症例は骨髄異形成症候群(MDS)、急性リンパ性白血病(ALL)を提示しました。

【解説】

(BM-PO ×1000)
   A.はMDSにおけるPO染色(ベンチジン法)です。1.は陽性の幼若顆粒球(巨大後骨髄球?)、2.は陰性の核異型の赤芽球、3.は陰性の巨大桿状核球(?)、4.は陰性の分葉核球、5.は陰性のリンパ球、6.は陰性の単球です。
   3.と4.は陰性の好中球で異常所見になります。2.と5.はもともと陰性の赤芽球とリンパ球で、6.は陰性から弱陽性を呈する単球ですが、本細胞は陰性です。
(BM-PAS ×1000)
   B.はMDSにおけるPAS染色です。1.は陽性の小型単円形核巨核球で形態異常です。2.はび漫性に弱陽性の成熟赤芽球で脱核寸前のものかも知れません。赤芽球のPAS反応は通常は陰性ですが、MDSのような腫瘍性の場合はよく染まることがあります。
(BM-Fe ×1000)
   C.はMDSにおける鉄染色です。1.は鉄顆粒を豊富に貪食したマクロファージ、2.(→)はすべてパッペンハイマー小体です。1.と2.ともに鉄の利用障害による過剰鉄がうかがえます。2.は環状鉄芽球とともに鉄芽球性貧血に遭遇する所見です。鉄芽球性貧血には先天性と後天性がありますが、前者はビタミンB6欠乏性貧血(ピリドキシン貧血)として、後者はMDSとして捉えることになります。
(BM-PAS ×1000)
   D.はALLにおけるPAS染色です。1.と2.と6.は点状(dot)、3.は塊状(block)、4.は粗大顆粒状に陽性、5.は陰性のリンパ芽球です。
   特に点状と塊状の陽性所見はALLの診断に有効で、私見ではB-ALLの約80%に染まります。
   本例についてはキット法より自家製法の方が鮮明に染まり、我々はギル・ヘマトキシリン染色後に飽和炭酸リチウムで処理し対比染色の感度を上げるようにしています。


問題 2

(正解と解説)
   中年期の男性で、貧血と全身倦怠感を主訴として来院され精査のため骨髄穿刺が施行されました。末梢血では汎血球減少症を呈し、骨髄は過形成の状態でした。

【解説】

(BM-MG ×1000)

(BM-MG ×1000)

(BM-MG ×1000)

(BM-PAS ×1000)

【末梢血液像所見】(提示していません)
芽球が6%と赤芽球の出現(2/100w)より白赤芽球症を疑いました。

【骨髄像所見】
   過形成の骨髄(45.4万/μL)は赤芽球系が60%で、それらは全般に大型で成熟傾向がみられました(図1)。
   そのなかで未熟型には二核のもの(図2.青矢印)、成熟型には核異型性がみられ(図1.青矢印、図3.青矢印)、全般に巨赤芽球様変化を呈していました。周囲には芽球がNECの48%混在しており、なかには巨大でN/Cが低く、核小体の明瞭なもの(図3.赤矢印)やアウエル小体を認めるものもみられました。

【特殊染色】
   芽球はPO染色に陽性のことより骨髄芽球として捉え、赤芽球は成熟型の一部にびまん性陽性がみられました(図4.青矢印)。

【染色体所見】
44,XY,der(2;13)(q10;q10),add(7)(p11),der(12)(p11),add(15)(p11),-16,-18,add(19)(p13)add(21) [13/20]

【表面形質】
   顆粒球抗原(CD13・CD33)ならびに赤芽球抗原(glycophorinA)が陽性でした。

【臨床診断】
   末梢血では白赤芽球症を呈し、骨髄では巨赤芽球がANC中の50%みられ、しかも骨髄芽球が20%以上みられたことからAMLの赤白血病の基準を満たすものとしてM6aと診断されました。表現型では顆粒球系ならびに骨髄系両系統の混在が明らかであり診断を支持するものでした。赤芽球のPAS反応陽性は腫瘍性を疑う所見となるのでMDSも含め判定には注意を払うことになります。



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