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「ネットで形態」 マンスリー形態マガジン

問題

第69回
問題 1
骨髄の細胞同定を行なって下さい。



問題 2
検査データと末梢血、骨髄像より考えられる疾患何ですか。

【10-15歳.女性】 
主訴:全身倦怠感、貧血
WBC3,800/μL、RBC162万/μL、Hb5.3g/dL、Ht15.8%、PLT1.5万/μL、NCC14.8万/μL(芽球優位)
  • 拡大
  • PB-MG×1000
  • 拡大
  • BM-MG×1000
  • 拡大
  • BM-MG×1000
  • 拡大
  • BM-SBB×1000





今回のねらい

 今回は、骨髄の細胞同定と症例の形態診断に挑みます。
細胞同定は、分化過程の習得と類似細胞との比較をしながら進めてください。
   症例編は、骨髄の芽球が優位の所見ですが、形態所見に診断づけるポイントがあるかも知れませんのでよく観察してください。
   特殊染色のSBBとはズダンブラックB染色のことです。現在は使用されていませんが、従来はPO染色と併用していたもので、その評価はPO染色と同様に考えてみてください。
   今回も選択肢がありませんので多くの情報から絞り込んでください。



解説

一口情報

Step1. SBB染色が消えた理由

 FAB分類が国際の統一分類として普及した頃(1976 〜)、顆粒球系の特殊染色にはペルオキシダーゼ(PO)染色とズダンブラックB(SBB)染色が併用されていました。
   その理由として染色結果に相関性があるということでした。ところが、症例のなかに解離するものが報告されるようになり、SBB反応の方が高い陽性率を示すことが解ってきました。それは、AMLの診断基準(芽球のPO反応陽性率が3%以上)に支障を来すことになります。両者は隣接して局在するものとされ、SBBはPO反応によく符合する陽性成績を呈することで採用されたことになりますが、POは酵素を、SBBはリン脂質を証明するものであり、解離がみられてもおかしくないのかも知れません。
   結局、その後AMLの光顕的診断にはPO染色が先行されるようになり、SBB染色は使用されなくなりました。

Step2. 8;21転座AMLの提唱は日本から‥?

 8;21転座AMLはRowleyら(1973)によってt(8;21)(q22;q22)AMLとして提唱され、多くはAML-M2に多く、M4の一部にも存在すると言われました。
   歴史をひも解きますと、本邦の鎌田ら(1968)によって、NAP低値、t(Cq−;Gp−)の亜急性骨髄性白血病の報告が記されています。現在に置き換えるとCq−は8番長腕の部分欠失、GP−は21番短腕の部分欠失にあたるようです。
   鎌田らの時代には正規な核型異常の表記がありませんでしたので、今思えば8;21転座をすでに予測していたことになります。

問題 1

(正解と解説)
   細胞同定の提示細胞につきましては、3例(@BC)が2016年7月号とダブっておりました。
ダブった3例につきましては再度正答と思われる細胞名を下記に表記しますが、説明に関しましては7月号を参考にして下されば幸いです。今後はこのようなミスがないようにメンバー一同気をつけます。

【正答】

@ 1-多染性赤芽球、2-単球、3-桿状核球、4-分葉核球
A 1-前骨髄球(骨髄球類似)、2-桿状核球、3-単球、4-桿状核球、5-前骨髄球、6-後骨髄球、7-後骨髄球
B 1-細網細胞、2-幼若好塩基球、3-単球
C 1-前骨髄球?、2-多染性赤芽球、3-造骨細胞

【解説】 Aについてのみ述べます。

(BM-PO ×1000)
   顆粒球系細胞の分化過程と単球の同定です。
   3.は核網工(クロマチン網工)の繊細さと核形不整、細胞質の灰青色から単球に同定しました。
   顆粒球系細胞は大きさと核の形状、細胞質の色調と顆粒の様式から同定を始めますが、本例では5→1→7→6→2と4.の分化過程が考えられます。判定に問題となるのは1.と6.になりますが、
1.は5.の典型的な前骨髄球に比べるとやや小さく、細胞質の好塩基性は薄れていますが、豊富な細胞質と一次顆粒は有しているようですので前骨髄球に同定しました。6.は桿状核球にもみられますが、両側の陥没が1μm以下とみなすと後骨髄球にしたいところです。尚、陥没がそれ以上になりますと、桿状核球(2.と4.)になります。ちなみに7.は片側の陥没が僅かにみられる後骨髄球と思われます。


問題 2

   女児の例で、貧血と全身倦怠感を主訴として来院され精査のため骨髄穿刺が施行されました。末梢血は汎血球減少症を呈し、骨髄は正形成の状態でした。本例はWHO分類(2008)が提唱される以前の例です。

【解説】

(PB-MG ×1000)

(BM-MG ×1000)

(BM-MG ×1000)

(BM-SBB ×1000)

【末梢血液像所見】(提示していません)
   大球性正色素性貧血で白血球数は減少気味ですが、芽球は72%出現し一部にアウエル小体を認めました。

【骨髄像所見】
   正形成の骨髄(14.8万/μL)は芽球が94%みられました。芽球には大小不同がみられ、なかにはアズール顆粒を有するものや核形不整や明瞭な核小体を有し、アウエル小体を認めました。アウエル小体は多様性で、長いものや短いもの、また束状(松葉状)を有するものもみられました。

【特殊染色】
   芽球はズダンブラックB(SBB)染色に85%が陽性のことより骨髄芽球として捉え、骨髄で芽球が90%以上(実際は94%)のことからAML-M1を考えました。尚、PO染色も同様に高率の陽性を呈していました。
   NAP染色における好中球の陽性態度は陽性率38%、陽性指数56と低値でした。

【染色体所見】
   46,XX,t(8;22)(q22;q22)の核型異常とAML1-ETO遺伝子変異を認めました。

【表面形質】
   CD13、CD33、CD34、CD117、HLA-DRの発現がみられました。

【臨床診断】
   芽球は末梢血の白血球数減少気味のなか72%みられ、骨髄では94%と著増しており、それらはSBB染色とPO染色に高率陽性であったことと、表面形質で未熟な芽球を示唆するCD34、CD117の発現を認めたことからAML-M1と診断されました。ただ、芽球の多様性の形態異常とPO染色の強陽性(上記)のことから、M1で8;21転座を有する病型を疑い、結果としてt(8;21)/AML1-ETOが証明されました。
   本型はMDSでもみられるとの報告がありましたが、それは芽球(アズール顆粒を有するもの)の捉え方にあったのだと思われます。すなわち、顆粒を有する芽球を前骨髄球に判定すれば必然的に芽球は減少し、AMLの診断基準の20%を超えないことでMDSになります。そのような症例を含め、WHO分類(2008)では「特定の遺伝子異常を有するAML」 として包括されました。尚、遺伝子変異はRUNX1-RUNX1T1に変更されました。



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