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「ネットで形態」 マンスリー形態マガジン

問題

第73回
問題 1
骨髄像の細胞同定を行なって下さい。

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  • BM-MG.1000
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問題 2
検査データと末梢血、骨髄像より考えられる疾患は何ですか。

【50-55歳.男性】
主訴:発熱、倦怠感
WBC23,100/μL、RBC309万/μL、Hb9.8g/dL、Ht29.6%、PLT3.0万/μL、NCC8.9万/μL
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  • BM-MG×400
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  • BM-MG×1000
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  • BM-PO×1000
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  • BM-PAS×1000





今回のねらい

 今回は、骨髄像の細胞同定と症例の光顕的診断に挑みます。 細胞同定は、類似細胞の鑑別ポイントを明確にして同定を行ってください。今回は核のクロマチン構造の所見の捉え方に挑戦してみました。
   症例編は、末梢血、骨髄の形態所見に注意しながら行ってください。
   特殊染色は二法を提示していますが、その特性と反応態度を考えて光顕的診断を試みてください。今回も選択肢がありませんので、限られた情報を駆使しながら絞り込んでみてください。



解説

問題 1

(正解と解説)
   骨髄像の細胞鑑別です。骨髄や末梢血液像の観察には検体の採取から塗抹、乾燥、染色の過程に起こるアーテイファクトや抗凝固剤、薬剤による影響を加味した上での同定が余儀なくされます。また、実践的な細胞鑑別には核網工や細胞質の色調や顆粒の様式を事細やかに観察することになります。

【正答】

(case A-1) リンパ球、 (case A-2) 後骨髄球(変性気味)、 (case B-1) マクロファージ(血球貪食細胞)、
(case C-1) 単球、 (case C-2) 前骨髄球、 (case C-3) リンパ球、
(case D-1) マクロファージ、 (case D-2) 後骨髄球、  (case D-3) 多染性赤芽球

【解説】

(BM-MG ×1000)
A
B
C
D
(case A-1)
細胞径15μm大、核形不整は軽度にみられ、核網工は粗荒で、淡青色の細胞質にはやや太めのアズール顆粒が散在してみられることから顆粒リンパ球に同定しました。単球に類似しますが、単球の核網工は繊細でアズール顆粒は微細で核の周辺に集合しやいため異なります。

(case A-2)
細胞径23μm大、核形不整がみられ、核網工は粗網状で淡橙色の細胞質には顆粒が分散してみられます。核の陥没より後骨髄球を思わせますが、それにしては大き過ぎます。細胞質が不鮮明であることからおそらく変性を来したものと考え、変性気味の後骨髄球に同定しました。塗抹上の問題か薬剤によるものかは不明です。

(case B-1)
細胞径45μm大の大型で細胞質の辺縁が読み取れません。核は類円形で核網工は繊細網状そして核小体を数個認めます(青色矢印)。不鮮明な細胞質に貪食された好中球の消化像がうかがえます(赤色矢印)。形態所見より血球を貪食したマクロファージに同定しました。

(case C-1)
細胞径30μm大、核形は桿状を呈し、核網工はやや繊細でクロマチンの結節はなく、豊富な細胞質はやや好塩基性で膜の辺縁には不規則性(突起)がみられます。核形は桿状核球に類似しますが、細胞の大きさや核質、細胞質の色調などは合致しないことから単球に同定しました。

(case C-2)
細胞径23μm大、核は偏在し中央部当たりにはゴルジ野がみられ、好塩基性の細胞質には粗大な一次顆粒(アズール顆粒)がみられることから前骨髄球に同定しました。

(case C-3)
細胞径15μm大の小型で、N/C比は高く核網工の粗荒さからリンパ球に同定しました。

(case D-1)
細胞径25μm大、この系列にしてはかなり小型ですが、異物の貪食もみられマクロファージに同定しました。

(case D-2)
細胞径20μm大、核形は短径が長径の1/3以上の長さを呈しているようですので後骨髄球に同定しました。

(case D-3)
細胞径12μm大、核は円形でやや偏在、クロマチンの凝集塊がみられ、細胞質は多染性の色調から多染性赤芽球に同定しました。



問題 2

   50歳代、男性の例。感冒様、微熱で来院し、血液検査で白血病が疑われ入院となりました。 来院2週間前には皮下出血、尿道出血を認めました。

【解説】

(BM-MG ×400)

(BM-MG ×1000)

(BM-PO ×1000)

(BM-PAS ×1000)

【末梢血液像所見】(A図)
   末梢血液像はありませんでしたが、白血球増加(23,100/μL)の血液像で芽球は92.0%と増加していました。

【骨髄像所見】(B図)
   低形成の骨髄(8.9万/μL)で芽球は98.0%と増加していました。芽球はN/C比が低く、やや大小不同性で、核は円形から類円形、核網工は繊細で明瞭な核小体がみられます。一部にアウエル小体(赤色矢印)を認めました。

【特殊染色】(C図、D図)
   PO染色(C)に陽性の芽球は40%みられました(赤色矢印)。
   PAS染色(D)には芽球の陽性はみられませんでした(陽性は対照の好中球)。

【生化学所見】
   LD 428IU/L、CRP 13.4mg/dL

【染色体所見】
   46,XY

【表面形質】
   CD13・CD33・34・CD117(+)、HLA-DR(+)

【臨床診断】
   末梢血と骨髄の芽球の増加は、各々92%、98%と顕著であったことより急性白血病を疑いました。
骨髄は低形成ながらも芽球の増加は顕著で、それにはアウエル小体を有するものやPO染色に40%が陽性であったことから急性骨髄性白血病(AML-M1)を疑いました。
LDの高値については、白血病細胞の崩壊によって血中へ流出したことが考えられ、CRPの高値については、尿道出血から皮下出血を来たしたことで急性炎症も推測されます。



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