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「ネットで形態」 マンスリー形態マガジン

問題

第74回
問題 1
骨髄像の細胞同定を行なって下さい。

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  • BM-MG.1000
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選択肢
@ 異型リンパ球 A 異常リンパ球 B 前赤芽球
C 単球 D 組織球 E 形質細胞
F 細網細胞 G 造骨細胞 H 骨髄芽球

  *異常細胞についての追加として、一部にアズール顆粒を有し、PO/PAS/EST染色は陰性で
   予後不良群でした。





問題 2
検査データと末梢血、骨髄像より考えられる疾患は何ですか。

【乳児.男児】
主訴:全身倦怠感
WBC21,100/μL、RBC180万/μL、Hb6.0g/dL、Ht17.0%、PLT1.5万/μL、NCC11.2万/μL
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  • PB-MG×1000
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  • BM-MG×1000
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  • BM-PO×1000
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  • BM-ACP×1000




今回のねらい

 今回は、骨髄像の細胞同定と症例の光顕的診断に挑みます。
細胞同定は、骨髄の類似細胞について考えてみます。今回は選択細胞から選択しますが、異常細胞については僅かな所見をもとに考えられる疾患も予測して下さい。
   症例編は、末梢血と骨髄の普通染色から形態学的特徴を考え、特殊染色はPO染色、ACP染色の所見を加味しながら形態診断を行なって下さい。
今回も選択肢がありませんので限られた情報を駆使しながら絞り込んでみて下さい。



解説

問題 1

(正解と解説)
   骨髄像の類似細胞の鑑別です。細胞径は25〜30μm大でN/C比が低いことは共通所見ですが、核の形状や質的所見また細胞質内の状況が異なる点かと思われます。異常細胞についてはコメントを少し入れておきましたが、PO、PAS、EST染色は陰性で予後不良の症例でした。

【正答】

(case A) F.細網細胞、 (case B) A.異常リンパ球、 (case C) D.組織球、(case D) E.形質細胞、
(case E) A.異常リンパ球、 (case F) C.単球、(case G) A.異常リンパ球、 (case H) D.組織球

【解説】

(BM-MG ×1000)
A B C D
E F G H

A.核は円形で偏在性、クロマチン網工は繊細網状で核小体を認めます。好塩基性の細胞質は7時方向に溶出がみられ不明瞭なことより血液細胞を否定し細網細胞に同定しました。

B.E.Gは同一細胞で異型リンパ球様です。三者とも核に不整がみられ(特にBとE)、核小体が明瞭(特にBとE)で、好塩基性の細胞質に一部アズール顆粒がみられます(Bのみ)。Gはクロマチン網工はBとEに類似し細胞質には二重構造や空胞がみられます。従って、BとEが同一形態のようで、Gがやや異るようです。これらの細胞は増加気味でありアグレッシブNK細胞白血病と診断されたもので、いずれも異常リンパ球として同定しました。
本例は多臓器不全、DIC、血球貪食症候群も来していて予後不良でした。形態は三者とも異型リンパ球様ですが、核形不整、核小体、アズール顆粒、空胞や単一様式が異なるポイントと思われます。

C.はこのなかでは小型であり、N/C比は極端に低く、核形不整の核や顕著な空胞を有することより組織球に同定しました。

D.核は円形で偏在性、クロマチン網工は粗荒のようで、強い好塩基性の細胞質を有します。10時あたりには僅かですが、ゴルジ野に相当する核周明庭(→)が伺えることより形質細胞に同定しました。

F.核は不整で中心性、クロマチンは粗網状で核小体は不明瞭です。弱い好塩基性の広い細胞質には空胞と微細なアズール顆粒が散在してみられ、大きさと核分葉がみられないことより前単球にしたいところです。ただ、周囲に増加傾向もなかったことから腫瘍性は否定され、細胞質が広すぎる所見から活性化単球も考えられます。

H.核は小型で楕円状で偏在性、クロマチンは粗網状で核小体は不明です。弱い好塩基性の細胞質には貪食像(赤血球?:→)が伺えることより組織球(血球貪食細胞?)に同定しました。



問題 2

   乳児の男性例。全身倦怠感で来院し、血液検査では貧血、血小板減少を呈し、末梢血液像に芽球を認めたため入院となりました。既往歴にダウン症がありました。

【解説】

(PB-MG ×1000)

(BM-MG ×1000)

(BM-PO ×1000)

(BM-ACP ×1000)

【末梢血液像所見】(A)
   白血球増加(21,100/μL)の血液像で芽球は68.0%と増加していました。N/C比が高くPO染色は陰性でした。

【骨髄像所見】(B)
   正形成気味の骨髄(11.2万/μL)で芽球は80.0%と増加していました。
   芽球は大小不同性でN/C比は高いものや低いものが混在し、核はほぼ円形で、クロマチン網工は粗網状で核小体を有するものもみられ、細胞質にはアウエル小体は認めず一部にアズール顆粒を有するものや辺縁に突起物(水疱・蕾状)を有するものがみられました。

【特殊染色】(C)(D)
   PO染色(C)に芽球はすべて陰性でした(6時方向は弱陽性の単球で陽性の対照)。
   ACP染色(D)に芽球は凝集状の限局性を呈し陽性です。

【染色体所見】
   47,XY,+21

【表面形質】
   CD7・CD13・CD33・CD41・CD61(+)、HLA-DR(+)

【臨床診断】
   末梢血と骨髄の芽球の増加は、各々68%、80%と顕著であったことより急性白血病を疑いました。
   骨髄は正形成傾向で増加する芽球はアウエル小体を認めず、細胞質には水疱(bleb)や蕾(bud)状の小さな突起を有するものがみられました。芽球のPO染色は陰性でACP染色は限局性の陽性を呈しました。ACP染色の反応態度は本細胞にもみられるもので、形態像から血小板系を考慮しながらPO陰性の急性白血病を考えました。
   表現型ではCD41、CD61の血小板系マーカーの発現がみられたので急性巨核芽球性白血病(AML-M7)の診断に至りました。表現型のCD7(T細胞)やCD13、CD33(骨髄系)の発現は本型によくみられるパターンです。
   背景にはダウン症があり、M7によく併発することが多いようです。



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