HOME > 血液検査コーナー > マンスリー形態マガジン > 第73回 問題と解答

「ネットで形態」 マンスリー形態マガジン

問題

問題 1
骨髄の細胞同定を行なって下さい。



問題 2
骨髄像より考えられる疾患は何ですか。

【60-65歳.男性】 主訴:心悸亢進、貧血
WBC7,800/μL、RBC220万/μL、Hb7.1g/dL、Ht18.6%、PLT8.1万/μL、NCC16.1万/μL、EST染色(陰性)
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  • BM-MG×400
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  • BM-MG×1000
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  • BM-PO×1000
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  • BM-PAS×1000




今回のねらい

 今回は、骨髄の細胞同定と形態診断に挑みます。
細胞同定は骨髄でよく遭遇する細胞を提示しました。なかには鑑別を要する細胞もありますのでそのポイントを捉え同定してみて下さい。
   症例編は、僅かな臨床と検査所見から、骨髄のMG染色、PO染色とPAS染色をもとに予測される疾患を考え、追加の検査では診断づける項目を考え疾患を絞ってみて下さい。



解説

問題 1

(正解と解説)
   骨髄の細胞同定です。類似細胞については鑑別ポイントを明確にして同定を試みて下さい。

【正答】

(case A) 1.多染性赤芽球、2.前骨髄球(好中性)、3.組織好酸球
(case B) 1.好塩基球(幼若)、2.マクロファージ
(case C) 1.分葉核球、2.好酸球(幼若)、3.骨髄球、4.多染性赤芽球、5.リンパ球
(case D) 1.桿状核球、2.好塩基性赤芽球、3.正染性赤芽球、4.多染性赤芽球

【解説】

(BM-MG ×1000)
A
B
C
D
(case A)
1.  成熟型の多染性赤芽球に同定しましたが、1時方向には多染性の色調が薄れ、ヘモグロビンの合成がうまくいってないことが考えられます。
2.  細胞質の色調がくすんだ好塩基性にみられることで幼若型の好酸球を考えますが、顆粒が小さいことより好中性の前骨髄球に同定しました。
3.  幼若な好酸球を思わせますが、細胞径は40μm大の大型で、細胞質辺縁が不規則性で、核網工が繊細より血液細胞を否定し組織好酸球に同定しました。

(case B)
  1.  細胞質の粗大顆粒は核の上にも散見され、核の分葉がみられないことより幼若型の好塩基球に同定しました。
  2.  45μm大の大型で、細胞質の不規則性に異物の貪食がうかがえるのでマクロファージに同定し、核が通常より大きいことよりその幼若型も考えられます。

(case C)
1.  分葉核球で問題なく、2.と3.は類似していますが、細胞質の顆粒の色調の違いから2.は幼若好酸球に、3.は骨髄球に同定しました。
4.は多染性赤芽球、5.はリンパ球で問題はありません。

(case D)
1.  細胞質に低顆粒気味の桿状核球に同定しました。
2.  回りの赤芽球に比べると大きく、細胞質の好塩基性が強いことから好塩基性赤芽球に同定しました。 3.  成熟赤芽球のなかでも小型で、細胞質の赤血球様の色調、核の濃縮が強いことから正染性赤芽球に同定しました。
4.  細胞質は多染性の色調を有し、2.より小型で、3.より大型のことより多染性赤芽球に同定しました。ただ、この赤芽球も右方向には不染部がうかがえヘモグロビン合成の悪さが伺えます。経験的にこのような赤芽球が多数みられる場合は、後天性でMDS、先天性では鉄芽球性貧血(ビタミンB6欠乏)を疑うことになります。



問題 2

   高齢の男性例。心悸亢進(動悸)が出現し、近医を受診したところ貧血と芽球様細胞の出現を指摘され、当院に紹介来院し、白血病が疑われ入院されました。

【解説】

(BM-MG ×400)

(BM-MG ×1000)

(BM-PO ×1000)

(BM-PAS ×1000)

【骨髄像所見】(A図)
   骨髄は正形成(16.1万/μL)で芽球様細胞の増加がみられます。それらは大型で、N/C比は低く、一部に核形不整や空胞を有するものがみられます。末梢血は白血球数正常(7,800/μL)にも拘らず芽球様が12.0%みられました。

【骨髄像所見】(B図)
   正形成の骨髄(16.1万/μL)で芽球様細胞は80.0%と増加していました。
  それは末梢血と同様に大型で、N/C比は低く、核形不整は軽度、核網工は粗荒で、核小体は一部に認め、細胞質には空胞を認めます。

【特殊染色】(C図)(D図)
   芽球様細胞はPO染色に陰性で、PAS染色は粗大〜細顆粒状の陽性を認めました。

【染色体所見、その他】
    @46,XY ALD5,211 IU/L、CRP2.25mg/dL

【表面形質】
    CD36・CD71・CD117・GP-A(+)、HLA-DR(−)

【臨床診断】
   末梢血、骨髄に増加していた芽球様細胞は、PO反応に陰性、PAS反応に強陽性(顆粒状)を呈し、赤芽球系のマーカーとされるCD36・71・glycophorinA(GP-A)に発現を認めたため、未熟な赤芽球と判定しpure erythroid leukemia(FAB:M6b)と診断されました。本例はHLA-DRに陰性でしたが陽性の場合もあるようです。尚、GP-Aは低率ながら発現を認めましたが、これは成熟型の赤芽球で優位に発現することが多いようです。本例ではLDの高値がみられましたが、白血病細胞に含まれるLDがその崩壊によって血中LDの高値をもたらしたものと思われます。形態学的に本例の細胞を見抜くことは困難であり、骨髄培養細胞にエリスロポエチンを添加しコロニー形成能をみることが診断につながることもあります。



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