HOME > 血液検査コーナー > マンスリー形態マガジン > 第77回 問題と解答

「ネットで形態」 マンスリー形態マガジン

問題

問題 1
骨髄の細胞同定を行なって下さい。



問題 2
骨髄像より考えられる疾患は何ですか。

【65-70歳.男性】 主訴:貧血
WBC26,800/μL、RBC348万/μL、Hb10.9g/dL、Ht32.4%、PLT11.2万/μL、NCC24.6万/μL、PO/PAS/EST染色(陰性)
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  • PB-MG×1000
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  • BM-MG×400
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  • BM-MG×1000
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  • BM-MG×1000




今回のねらい

  今回は、骨髄の細胞同定と形態診断に挑みます。
細胞同定は骨髄でよく遭遇する細胞を提示しました。なかには鑑別を要する細胞もありますのでそのポイントを捉え同定してみて下さい。
  症例編は、僅かな臨床と検査所見から、末梢血と骨髄のMG染色から形態診断を行なって下さい。尚、PO染色、PAS染色、EST染色すべて陰性でした。また、本例と類似する疾患を考え、鑑別ポイントはどこにあるでしょうか。



解説

問題 1

(正解と解説)
   骨髄の細胞同定です。類似細胞については鑑別ポイントを明確にして同定を試みて下さい。

【正答】

(Case A) 1.後骨髄球、2.分葉核球、3.好塩基球、4.骨髄球、5.正染性赤芽球
(Case B) 1.桿状核球、2.分葉核球
(Case C) 1.組織球、2.好酸球、3.単球、4.多染性赤芽球
(Case D) 1.好塩基性赤芽球、2.多染性赤芽球、3.正染性赤芽球

【解説】

(BM-MG ×1000)
A
B
C
D
(Case A)
  好中性顆粒球の成熟過程は4.→1.→2.の順になります。4.の細胞質は若干好塩基性ですが、前骨髄球に比べると小さく、核は中央寄りで核網工は粗、顆粒も小さい(二次顆粒)ことから骨髄球でよいと思います。1.は核に陥没(湾曲)がみられ短径が長径の1/3以上の長さより後骨髄球、2.は核の重なりがみられることより分葉核球と思われます。3.は核の上にも黒紫色の太い顆粒がみられることより好塩基球、5.は核濃縮がみられることより正染性赤芽球に同定しました。

(Case B)
  1.はA-1.より湾曲が強く短径が長径の1/3未満のことから桿状核球、2.は過分葉気味の分葉核球と思われます。





(Case C)
  1.は単球に類似していますが、4.の単球(周囲の細胞に押されて少し萎縮気味)に比べると40μm大の大型より非造血細胞と考え組織球に同定しました。2.は好酸球で、4.は細胞質の多染性の色調より多染性赤芽球に同定しました。



(Case D)
  1.と2.は赤芽球系の分裂後の細胞が伺え、いずれも大きさと細胞質の色調が決め手になりそうです。
 1.は好塩基性より好塩基性赤芽球、2.は多染性の色調に加え核網工が荒く、クロマチンの結節が明確にみえることから多染性赤芽球に同定しました。それらに比べ、3.は細胞全体も小さく、細胞質の色調は好酸性が強く、核網工は粗荒で核は濃染状のことから正染性赤芽球に同定しました。



問題 2

   高齢の男性例。近医にて脾腫を指摘され、精査のため貧血と白血球増加を認め入院となりました。 脾腫(6横指)を認め、リンパ節腫大はみられませんでした。

【解説】

(PB-MG ×1000)

(BM-MG ×400)

(BM-MG ×1000)

(BM-MG ×1000)

【末梢血液像所見】(A図)
   白血球増加(26,800/μL)の血液像でリンパ球様細胞は90%と増加していました。それらのなかに中〜大型で、N/C比は全般に低く、一部に核形不整や核小体また細胞質に突起を有するものが65%みられました。
それらは形態所見から前リンパ球を考えました。

【骨髄像所見】(B図)(C図)(D図)
   正形成の骨髄(24.6万/μL)ではリンパ球様細胞が88.0%と増加していました。
それは末梢血と同様な大きさで、N/C比は高く、核形不整や核小体を認めたことから、主たる細胞は前リンパ球を考えました。 

【特殊染色】(提示画像なし)
   リンパ球様細胞はPO染色、PAS染色、EST染色に陰性でした。

【染色体所見】
    46,XY

【表面形質】
    CD19・CD20・FMC7・smIgM+D(+)、HLA-DR(+)

【臨床診断】
高齢で、末梢血のリンパ球数が5,000/μL以上(実際は24,120/μL)を呈し、形態所見から前リンパ球の増加と考えそれらは骨髄にも増加していました。それらは慢性リンパ性白血病(CLL)と一見類似しますが、核形不整や核小体の所見は合致せず、さらにB-リンパ球マーカーに加えFMC7やsmIgM+Dの発現が強度であることも合致しないことから前リンパ球性白血病(prolymphocytic lekemia:PLL)を疑いました。結局、PLLに特徴とされる巨大脾腫も認めていたことより、PLLと診断されました。
 本型は従来よりCLLの範疇に分類されていましたが、1974年Galtonらが細胞形態や孤立性脾腫(リンパ節腫大を伴わない脾腫)などを特徴とした予後不良群を、CLLとは異なるものとして独立した疾患に提唱しました。



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