HOME > 血液検査コーナー > マンスリー形態マガジン > 第78回 問題と解答

「ネットで形態」 マンスリー形態マガジン

問題

問題 1
骨髄の細胞同定を行なって下さい。





問題 2
末梢血・骨髄像より考えられる疾患と鑑別疾患のポイントは何ですか。

【50-55歳.女性】 主訴:貧血、腰痛
WBC14,500/μL、RBC286万/μL、Hb10.2g/dL、Ht25.6%、PLT4.4万/μL、NCC16.2万/μL、 血液像:核偏在のリンパ球 (二核含む) 35%→PO/EST染色陰性
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  • PB-MG×1000
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  • BM-MG×400
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  • BM-MG×1000
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  • BM-ACP×1000




今回のねらい

 今回は、骨髄の細胞同定と形態診断に挑みます。
細胞同定は骨髄でよく遭遇する細胞を提示しました。なかには鑑別を要する細胞もありますのでそのポイントを捉え同定してみて下さい。
  症例編は、僅かな臨床と検査所見から、末梢血のMG染色と骨髄のMG染色、ACP染色ならびに診断に必要な検査を模索し形態診断を行なって下さい。また、本型と類似する疾患を考え、その鑑別ポイントについても述べて下さい。



解説

問題 1

(正解と解説)
   骨髄の細胞同定です。類似細胞については鑑別ポイントを明確にして同定を試みて下さい。

【正答】

(Case A) 1.多染性赤芽球、2.好塩基球
(Case B) 1.後骨髄球、2.前骨髄球、3.前骨髄球、4.リンパ球、5.桿状核球、6.多染性赤芽球
(Case C) 1.単芽球、2.多染性赤芽球
(Case D) 1.多染性赤芽球、2.組織球、3.桿状核球

【解説】

(BM-MG ×1000)
A
B
C
D
(Case A)
1.形態的に赤芽球を疑い、細胞径13μm大で紡錘糸がみられることで分裂後がうかがえます。細胞質の色調は好塩基性から多染性に向かっており、核のクロマチンは結節状のことより多染性赤芽球に同定しました。
2.核の分葉とクロマチン網工の不鮮明、紫褐色の粗大顆粒は核の上にも分散しているようで成熟型の好塩基球に同定しました。

(Case B)
1.顆粒球系の分化過程を考えると、2.→3.→1.→5.の順に成熟しているようでその順に説明します。
2.細胞径23μm大で最も大きく核偏在、クロマチン網工は粗網状、細胞質は好塩基性で僅かにアズール顆粒を認める前骨髄球と思われます。3.クロマチン網工は2.より少し成熟がうかがえますが、核偏在に好塩基性の細胞質を有しておりアズール顆粒は減少していますが前骨髄球に同定しました。1.核に陥没がみられ、短径が長径の1/3以上の長さより後骨髄球に同定しました。5.核の湾曲が著しく、核の短径が長径の1/3未満のことより桿状核球に同定しました。いずれも顆粒は低顆粒のようです。6.赤芽球にしてはかなりの小型ですが、細胞質は未だ多染性の色調を保持(一部不染部あり)していることより多染性赤芽球に同定しました。4. はリンパ球です。

(Case C)
1.細胞径20μmの大型細胞で、豊富な好塩基性の細胞質を有し微細なアズール顆粒がみられます。
核形は円形というより12時方向にやや不規則性がうかがえ、クロマチンは繊細網状で幼若な単球を思わせます。
大型で豊富な細胞質より単芽球を思わせますが、軽度の核形不整や微細なアズール顆粒を有していることより前単球に同定しました。通常、単球系のアズール顆粒は前単球からみられると言われます。 2. は多染性赤芽球でよろしいかと思われます。

(Case D)
1.は多染性赤芽球、2.は単球に類似しますが、それに比べると40μmと大型、淡青色の好塩基性の細胞質は豊富で不規則性、著明な空胞と僅かなアズール顆粒を認めることより組織球に同定しました。
3. 核は棒状でクロマチン結節が僅かにみられ桿状核球と思われ、それは低顆粒気味のようです。
背景には多染性赤血球(網赤血球)が散見されます。



問題 2

   50歳代の女性例。近医にて貧血、腰痛を指摘され、当院にて貧血と血小板数減少、白血球数増加を認めたため入院となりました。

【解説】

(PB-MG ×1000)

(BM-MG ×400)

(BM-MG ×1000)

(BM-ACP ×1000)

【末梢血液像所見】(A図)
   白血球増加(14,500/μL)の血液像でリンパ球様細胞は75%(10,875/μL)と増加していました。そのリンパ球様細胞を細かくチエックすると核偏在や二核のものが35%(5,075/μL)みられ、それらはPO染色やEST染色に陰性でした。

【骨髄像所見】(B図)(C図)
   正形成の骨髄(16.2万/μL)ではリンパ球様細胞が84.0%と増加していました。それらは小型で末梢血でみられたような形態に加え、核異型性の強い細胞が多くみられました。形態所見から形質細胞の腫瘍を疑いました。

【特殊染色】(D図)
   形質細胞様細胞についてはPO染色、EST染色に陰性で、PAS染色では一部が陽性でした。
   また、酸性ホスファターゼ(ACP)染色が多核細胞のゴルジ野あたりに強陽性を呈していました(矢印)。

【生化学所見】
    血清LD.690U/L、血清Ca.15.6mg/dL、M蛋白(+) 

【表面形質】
    CD38、cIg(+)

【臨床診断】
臨床的に腰痛があり、貧血、血小板減少、白血球数増加がみられたこと、末梢血中の形質細胞が白血球分画中比率で35%以上、絶対数で5,075/μLを呈したことより形質細胞の腫瘍性として形質細胞性白血病(PCL)を疑いました。PCLの形態診断基準(末梢血の形質細胞が20%以上、絶対数が2,000/μL以上)をクリアしており、また腫瘍性細胞の増加による血清LDの高値、骨破壊による血清Caの高値またM蛋白の証明や表面形質の所見からPCLを診断づけるものとなりました。本型は多発性骨髄腫に類似しますが、それに比べ骨病変は少なく、形質細胞の形態は小型で核形不整が顕著であることが特徴のようです。また予後は不良で、急激な経過をとるものが多いとも言われます。



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