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「ネットで形態」 マンスリー形態マガジン

第88回 「マンスリー形態マガジン」 2018年8月号

『西郷どん、幕末の志士続々登場!』

   NHK大河ドラマ『西郷どん』は折り返し地点に入り、いよいよ個性あふれる幕末の志士たちが登場します。それにちなみ「西郷どんスペシャル」(NHK-TV.2018.7.9放映)で、新たなキーパーソンとなる坂本龍馬、勝海舟、岩倉具視、桂小五郎、の魅力をひも解いた特別編が紹介されました。これについては興ざめするような“特別編”は意味がない‥と厳しい意見もあったようでしたが、それはともかく、革命家とされる四人についておさらいをしてみたいと思います。
  坂本龍馬(役.小栗旬氏)は、勝海舟を師と仰ぎ、長崎にて日本初の貿易会社を兼ねた亀山社中を結成し海運業を行い“海援隊”を組織します。一方、薩摩藩と長州藩の「薩長同盟」の仲介役を果たします。幼少の頃より弱虫であった龍馬は姉.乙女のスパルタ教育により幕末の剣豪千葉周作の北辰一刀流免許皆伝の腕前にまで昇り詰めます。そして開国派の海舟に説得された龍馬は、ブーツ姿や香水を好むようになり、一方こまめな性格から乙女や家族に当てた手紙は140通とも言われます。刀傷湯治のため、西郷の計らいで妻.お龍との薩摩への新婚旅行は粋なもので、“日本を今一度せんたくいたし申候”の名言は有名です。
  勝海舟(役.遠藤憲一氏)は、敵、見方なく“交渉の達人”といわれ、「海軍操練所」を創設し、江戸無血開城の立役者でもあります。日米修好条約(1860年)のため咸臨丸で渡航中、38日間の長旅のなか船酔いに苦しめられ、太平洋を航海中何度も“俺は日本に帰るからボートを降ろせ!”と言い張ったエピソードもあるようです。優しい顔つきですが、全身が肝っ玉で、“100%の敵も100%の見方もない”の名言は有名です。
  岩倉具視(役.笑福亭鶴瓶氏)は、500円札にも登場した人物ですが、公家の出ながら異端児で、蟄居(ちっきょ)生活を送ることになります。しかし、指導的才能が認められ、最後は天皇の側近まで昇り努めることになります。倒幕の黒幕とも言われ、“すべての未来は妄想から始まる”の名言は有名です。
  桂小五郎(役.玉山鉄二氏)は、長州藩を率いた人物で“木戸孝允(たかよし)”の名でも知られ、剣術では神道無念流免許皆伝の腕前であった一方、松下村塾で知られる吉田松陰のもとで才能を磨き、まさに文武に優れた青年時代を過ごします。しかし、生き残る手段として“逃げの心”を持ち、常に複数の偽名を使って生きたともいわれ、“逃げるは恥だが逃げるが勝ち”は有名です。
  第26回「西郷、京へ」(7月15日放映)から、明治維新へ向けて幕末の志士たちの壮絶な闘いに興味が湧きます。ところで、制作費は1話6000万円って‥知ってました?

形態マガジン号キャプテン 阿南 建一 


問題

問題 1
CMMLの骨髄像の細胞同定を行なって下さい。



問題 2
光顕的所見から臨床診断を考えて下さい。

60-65歳.男性 【主訴】 頸部リンパ節腫脹 [末梢血-MG,骨髄-MG,(PO反応:陰性)]  【検査】WBC68,000/μL、RBC460万/μL、Hb15.2g/dL、Ht44.8%、PLT21.6万/mu;L、NCC25.6万/μL
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  • PB-MG×600
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  • PB-MG×1000
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  • BM-MG×600
  • BM-MG×1000
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今回のねらい

  今回は前回に続き単球に焦点をあて、骨髄における細胞同定に挑戦しました。提示例は、慢性骨髄単球性白血病(CMML)の骨髄です。
成熟単球については、腫瘍性に出現する単球とは形態が異なることがポイントかも知れません。
症例編は、わずかな臨床像と検査データから次なる検査を模索し、末梢血および骨髄像から臨床診断を試みて下さい。



解説

問題 1

   末梢血液像の細胞同定を行なって下さい。

【解説】

 
(BM-MG×1000)

(BM-MG×1000)


前回に続いて単球系細胞の同定に挑戦します。ベックマン・コールター社のカスタマートレーニング「形態コンシエルジュ」でもよくご質問を頂く細胞です。WHO.2008版では、AML-M5の症例を参考にして、単芽球、前単球、単球の鑑別がなされましたが、納得がいかない点もあるようです。大きな違いは、三者の核網工(クロマチン網工)の捉え方にあるようです。本項では慢性骨髄単球性白血病(CMML)の骨髄像から追究します。

【正答】
A-1.単芽球、2.前単球、3.単球、4.単球
B-1.前単球、2.単球、3.前単球、4.単芽球

【解説】
単球系の大きさは単芽球と前単球が約25〜28µm、単球になるにつれて小さくなり約20〜25µm大と捉えます。
そして共通所見としてN/C比が低いことです。私見的に下記の鑑別ポイントをもとに同定しました。

A.では、1.が大型で核は類円形で核網工は粗網状で核小体を有し、好塩基性が強く、微細顆粒を有する単芽球に同定しました。2.は1.に類似していますが、核内に切れ込みのポイントを優先し前単球に同定しました。
3.と4.は核形不整が強度で、好塩基性はさらに薄れ、空胞が著明なことより単球に同定しました。

B.では、4.が最も大きく、核形不整はみられますが、核内への切れ込みはなく、細胞質の好塩基性が強いことより、微細なアズール顆粒を有する単芽球に同定しました。1.は核網工はやや繊細で、核形不整が軽度ですが、細胞質の好塩基性は薄れ、微細顆粒を有する前単球に同定しました。3.は4.と重なり小さくなっていますが、核網工はやや繊細で好塩基性が薄れていることより前単球に同定しました。2.は細胞質に比し核は小さくなり、細胞質はさらに薄れ、空胞を有することより単球に同定しました。

【鑑別のポイント】
単芽球:核網工は粗網状、核形不整は軽度(切れ込みはない)、細胞質の好塩基性は強度、微細顆粒は時々。
前単球:核網工はやや粗網状、核形不整は強度(切れ込みあり)、細胞質の好塩基性は薄れ、微細顆粒あり。
単球:核網工は繊細、核形不整は強度(分葉)、細胞質の好塩基性はさらに薄れ、微細顆粒あり。
空胞については単球へ分化するほどみられ、PO反応は前単球から単球にかけて弱陽性を呈しますが、陰性も多くみられます。この三者については、AML-M5例における形態所見であるため、単球は異常所見として捉えることになります。



問題 2

   60-65歳.男性。頸部リンパ節腫脹がみられました。

【解説】

(PB-MG×600)

(PB-MG×1000)

(BM-MG×600)

(BM-MG×1000)


【末梢血】

(A)(B)白血球数著増(68,000/µL)のなかリンパ球は95%でした。リンパ球数の著増(64,600/µL)がみられ、それらは全般に小型で、N/C比は高く、核網工は粗剛で核形不整は軽度、周囲には核影がみられました。

【骨髄】
(C)(D)正形成の骨髄はリンパ球が97%と増加していました。それらはN/C比が低く、核網工が粗剛で核形不整はなく、末梢血同様に核影がみられました。PO染色は陰性でした。

【免疫形質】
CD5・19・22・23・HLA-DR(陽性)、20(dim)・ smIg(dim)

【リンパ節生検組織診】
リンパ節の基本構造は破綻し、小型リンパ球のびまん性増殖がみられた。

【染色体/遺伝子】
異常なし

【臨床診断】
高齢で頸部リンパ節腫脹のもと、末梢血のリンパ球数が5,000/μL以上の持続性増加を認め、骨髄浸潤そして白血化の状態でありました。増加するリンパ球は、成熟型で表現型の所見とリンパ節生検より単クローン性増殖がうかがえ、慢性リンパ性白血病(CLL)と診断されました。
本例には、経過中に稀ながら、@前リンパ球(PL)の混在(真のPLLへの移行は稀)、ARichter症候群:びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)への転換(CLLの約2〜8%)、B古典的ホジキンリンパ腫(1%未満)の形質転換がみられるようです(WHO.2008)。
CLLとの鑑別疾患には細菌感染による百日咳感染症と急性リンパ性白血病(ALL)があります。



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