2019年6月21日掲載

東京都立墨東病院

Vol.41信頼の精度と新機能で検査の質向上へ

UniCelDxH900シリーズ

Vol.41:信頼の精度と新機能で検査の質向上へ

東京都立墨東病院
東京都立墨東病院(東京都墨田区、一般719床)は2019年1月に血球計数装置「UniCelDxH900」2台と血液塗抹標本作製装置「DxHSMSⅡ」1台を接続したシステム「DxH900-2S」(以下、UniCelDxH900シリーズ)を2式導入した。ベックマン・コールター製からの機種更新だったことから導入から本稼働への移行は順調に進行。血球計数のパイオニアとしての信頼性に加え、UniCelDxH900シリーズが備える各種機能を活用してさらなる検査の質向上、業務の効率化に取り組む方針だ。

助川久美子技師長墨東病院は、隅田川以東の地域で唯一の救命救急センターを軸とする「東京ER」を併設し1~3次の救急医療を提供する。第1種感染症指定医療機関でもあり、区東部医療圏の中核病院としての役割を担う。助川久美子技師長は「患者さんが中心の医療を提供することが大前提」とし、質の高い検査結果を迅速に報告することが安全で質の高い医療につながると検査科の方針を説明する。
血球計数(CBC)装置は2代前のモデルに当たる「LHシリーズ」(以下、前機種)を使用していた。更新時の検討を受け持った課長代理の工藤洋子氏は、選定の決め手について測定精度の高さ、標本作製の速さ、さらに「MDW機能」の存在を挙げる。
墨東病院では3月から本稼働に入った。CBCはコールター原理(電気抵抗法)を採用し、詰まりなどによる誤差を最小限に抑えた3つの検出器による同時三重測定方式によって、血球数と体積を計測する。さらにDxHシリーズでは、コールター原理とフローサイトメトリー法を融合させた解析により、細胞干渉の影響を減少また警告するなどデータの信頼性を確保した。
DxH 900の特長CBCについて工藤氏は「前機種と変わらず信頼性の高いデータになっている」と評価する。再現性は低値に加えて、白血球数が40万/μLという症例に遭遇した際に希釈後の測定値と乖離がなかったことから高値の正確性も確認できた。
「色は明るく、外観もシャープになったね」。工藤氏は同僚からそうした声を聞いている。UniCelDxH900シリーズはPC本体を装置内部に格納し、タッチパネル方式のディスプレイを装置前面に取り付けることによって前機種よりもすっきりした外観になった。設計変更は省スペース化も意識したもので、工藤氏は「前機種1台分のスペースにほぼ2台を設置できたため、空きスペースを活用して導線の見直しをした。またISO取得を視野に入れた試薬の保管法に変更できた」と話す。装置の背面と建屋の壁のクリアランスも4センチ程度に抑えられている。
 ディスプレイは、従来機種よりワイドな画面であるため、左側のメイン画面で検査の進捗などをモニターしながら、右側のサブ画面も使用できる。検査科はサブ画面に運用上の注意点を記入するなどしてスタッフ間で共有。工藤氏は「一番便利なのは試薬の交換や、あまり行わないメンテナンスの手順を動画で確認できる点」とし、トレーニング時や当
 直帯で重宝していると説明する。また、「オーロラのような色調だね」と同僚に言われる装置上部にある緑、青、黄、赤―の4色のカラービーコンは、稼働中は緑色、スタンバイ中なら青色と状態に応じて変化する。「当直時は装置から離れることも多くなるため、目視がしやすく便利になった」(工藤氏)。

血液検査室の皆さん

効率性高める各種機能

年間検査件数はCBCが約17万件、 白血球5分類(Diff)・鏡検は約14万件 (ともに18年度)で、工藤氏ら5人が対応している。各種操作をメイン画面のタッチパネルで行えるなどUniCelDxH900シリーズは作業効率の面でも進化を遂げた。工藤氏はまず、測定結果や各種フラッグなど任意に設定された条件に応じて再検査や追加検査を自動で行う「ディシジョンルール」の有用性を挙 げる。
 再検査の場合、以前は該当する検体を手作業で探し出し、装置に載せ直す必要があった。現在はそうした煩雑さが解消されるとともに測定、再検の工程で省力化が進んだ。工藤氏は「カセットを装置にセットした後は最後に取り出すだけになった。空いた時間は落ち着いて鏡検に充てられている」とし、検査フローが改善されたことを実感している。実際に、19年4月の外来のTAT(検体到着から結果報告まで)は9分8秒、前機種よりも1分近く早まった。
工藤氏  朝夕のメンテナンスの負荷は「自動デイリーチェック/シャットダウン機能」によって軽減された。1日1回の洗浄は前機種では都度ボタンで実行する必要があったが、今は設定時間になれば自動的に開始する。始業時はあらかじめ設定した時間になるとデイリーチェックが実施され、管理血球を測定できる状態で装置が待機。そのほか希釈液は小型化され、4個をセットできるようになって「とても助かっている」(工藤氏)と好評。残量が少なくなるとビーコンが黄色に変わり、交換のタイミングを告げるため、液切れによる装置の停止もなくなった。

墨東病院で稼働する検査関連装置

進化する血液細胞の解析

 解析技術をより充実させて追加の検査をせずに済むようにすることも開発コンセプトだった。それは「VCSn テクノロジー」によるDiffや有核赤血球(NRBC)などの測定に反映されている。Diff測定について工藤氏は「解析のチャンネルが増えたことで詳細な情報を入手できるようになった」と評価。得られた情報をディシジョンルールに反映させながら、業務効率や検査の付加価値をさらに高める方向で活用したいと考えている。
 UniCel DxH 900シリーズは専用チャンネルを設けてNRBCを測定する。また、造血機能を評価するのと同時に、CBCの細胞干渉データのフィードバックを行い、CBC測定をより高精度に測定できるようにした。工藤氏は細胞干渉を示すメッセージが出る頻度が前機種よりも減った印象があるとし「メッセージに基づいて、ある程度予測を立てた上で、次の鏡検作業に移ることができる」と評価する。
 血球計数装置を用いた敗血症の早期検出を視野に入れた「MDW機能」も研究用として活用していく考えだ。スキャッタープロットによる単球(Monocyte)の容積分布幅を示す指標で国外では米国食品医薬品局(FDA)から認可されている。敗血症の初期段階で高値を示すことから救急患者における基礎的な検討が国内外で広がりつつある。Diffのオーダーがあれば同時に測定される。
 工藤氏は、「MDW が高値を示す検体ではプロカルシトニン(PCT)との関連性についてデータを増やして確認できれば」と話す。微量検体(165μL)に対応可能な点も踏まえて、小児患者での有用性の高さも感じている。
 検査科の今後について助川氏は「人材の育成と業務の効率化を両立させつつ臨床部門のニーズに応えていく」と語る。UniCel DxH 900 シリーズも、血液内科や東京ERとの協働を通じた患者本位の医療の提供に向けてフル活用する方針だ。

(THE MEDICAL & TEST JOURNAL 2019年6月21日 第1468号掲載)

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