第23回生物試料分析科学会 年次学術集会報告

2013年2月10日(日) 大阪 新梅田研修センター

  • 共催

2月10日(日)、11日(月・祝)に行われた生物試料分析科学会学年次集会は、大阪駅からほど近い新梅田研修センターにて開催されました。今回で23回目を数える生物試料分析科学会学年次集会は寒空ではありましたが晴天に恵まれた2日間となりました。企業演題ではベックマン・コールターも参加させていただき、妊娠期に必要不可欠な栄養素として最近注目されている葉酸について発表いたしました。学会では一般演題のほかにもPOCT(Point-of-Care Testing)機器の展示やセミナー、ISO15189認定に関するワークショップ等も開かれ、多くのお客様が訪れておりました。

  • 日    時
    • 2013年
    • 2月
    • 10日(日)
    • 9:00 ~ 10:00

  • 会    場
  • 新梅田研修センター Gホール(第1会場) MAP
  • 演    題
  • 葉酸の臨床的意義 Update
  • 演    者
  • 河野  景太    森  和雄
    ベックマン・コールター株式会社
  • 講 演 内 容
  • 葉酸は、ビタミンB群の一種であり、過去にはピタミンMやビタミンBcとも呼ばれていた。実際の葉酸は葉酸活性を持つ構造類似体の総称である。また葉酸は水溶性のビタミンで、酸やアルカリには可溶であるが、純水やエタノールにはほとんど溶けず、アセトン、エーテル、クロロホルム、ベンゼンには溶けない。また、光に対して不安定である。葉酸は、1941年ミッチェル[HerschelK.Mitchell (1913-2000) ]らによりホウレンソウなどの緑葉中からある種の乳酸菌生育因子として抽出され、ラテン語の「葉J(folium) と「酸J(acid)からFolicacidと命名された。葉酸は、生体内や食品中では多様な形態で存在し、ヌクレオチド類の生合成やアミノ酸の代謝、タンパク質の生合成、ビタミン代謝に関与している。名称と由来から植物性食品のみに含まれていると思われがちであるが、動物性食品であるレバーなどにも多く含まれている。葉酸は、水溶性ビタミンであるため体内に長時間保持されない。そのため含有食物に留意し定期的に摂取することが望ましい。
    また葉酸欠乏症は一般的にみられ,食事からの摂取不足、腸からの吸収不良、妊娠、薬剤投与(抗がん剤・免疫抑制剤・抗けいれん剤・非経口栄養剤等)、血液透析、アルコール中毒などが原因である。葉酸は、ホモシステインからメチオニンを生成するのに必要とされるため、不足するとホモシステインが血中に蓄積し、動脈硬化の危険因子,となる。その他、葉酸が不足すると造血機能が異常を来たし、巨赤芽球性貧血、神経障害や腸吸収障害などが起こる。巨赤芽球性貧血(B12欠乏症原因の貧血と鑑別不可)は、葉酸欠乏症によるDNA合成障害の結果起こる。また巨赤芽球性貧血は潜行的に進行し,重度になるまで症状が出現しないこともある。また妊娠時母体に葉酸欠乏症が認められると,先天性の神経管閉鎖障害のリスクが高まる。神経管閉鎖障害は、主に、先天性の脳や脊椎の癒合不全を指す。脊椎の癒合不全を二分脊椎といい、出生時に、腰部の中央に腫癌が認められ、脳癌や脳の発育がない無脳症などがある。
    先天異常の多くは妊娠直後から妊娠10週以前に発生しており、特に中枢神経系は妊娠7週未満に発生することが知られている。このため、多くの妊婦が妊娠して又は妊娠の疑いを持って産婦人科の外来に訪れてからの対応では遅いと考えられることから、多くの疫学研究報告と諸外国の対応では、葉酸の摂取時期を、少なくとも妊娠1か月以上前から妊娠3か月までとしている。前述疫学研究には、葉酸と神経管閉鎖障害に関して一「ケースコントロール研究JI介入研究jが行われている。ケースコントロール研究においては葉酸のサプリメントを摂取することにより35-75%のリスク低減が報告されている。また介入研究においては60%以上の高いリスク低減結果が報告されている。日本においても2002年から母子手帳に葉酸摂取の記載がされている。
    上記のように貧血のみならず葉酸測定の臨床的意義は、拡大・見直しされている。
    その中、下記に示す葉酸に関与する調査研究が行われている。


    • I子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)J
    • I成人病胎児期発生説」
    • I基準範囲設定国際プロジェクト」

    上記研究に関してベックマン・コールター株式会社は、測定に関与している。
    当演題では上記の研究を中心に葉酸に関する新しい話題を提供する。


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