第116回 「マンスリー形態マガジン」 2020年12月号

『 今年の大掃除は、あんたが主役たい ! 』

 前略 今年はコロナに始まり、コロナに終わる一年になりましたが、第三波の感染拡大の中、日々の業務で対応されているみなさまには感謝と心からお礼申し上げます。さて、今年も残りわずかになりましたが、ご家庭での大掃除はお済みでしょうか。大掃除は「煤払い(すすはらい)」と言われ、家の中の囲炉裏やかまどの煤を払い、清めることで新年を司る年神様を迎えるための神聖な行事でした。その名残りとして、現在でも神社やお寺では「煤払い」が執り行われています。

 さて、我が家の家族は熱帯魚、金魚、白メダカなどですが、この度“エビちゃん”が一員に加わりました。この大所帯の家族の住み家(熱帯魚水槽)にも毎年大掃除が必要になりますが、そこで登場するのが大掃除三人衆、石巻貝、オトシンクルス、白コリドラスです。今回、我が家の大掃除請負人について紹介させていただきます。

まず最初は、石巻貝です。石巻貝は、丸い形状の貝殻が特徴的な巻貝の一種です。コケ取りの名人で水槽ガラス面の珪藻、緑藻などをよく食べてくれます。ガラス面に張り付いている姿は少しグロテスクですが、意外に素早く動きます。また、一旦ガラス面から落ちて仰向けになってしまうと熱帯魚に襲われますので、率先して救出しております。次は、オトシンクルスです。オトシンクルスは、ナマズの仲間で吸盤状の口でガラス面などに張り付き、水草についた残餌や茶ゴケなどを食べてくれます。ガラス面に頭を上に張り付く姿がこっけいで顔つきや仕草もとても可愛らしいです。一方、とても臆病者でカメラを向けるとガラス面に衝突するくらいの勢いで素早く逃げていってしまいます。最後は、白コリドラスです。白コリドラスも、ナマズの仲間で純白のドレスをまとった雪のような体はまるで妖精のようです。口元には髭を蓄え、水底の残餌を休むことなく掃除してくれる水底の掃除屋です。
また、艶やかで真っ白な姿は熱帯魚よりもよく目立ち、カメラを向けると近寄ってくる人懐っこい性格です。

 我が家の家族たちは、何事もなかったように水面を泳ぎ回っていますが、彼らが毎日休むことなく掃除をしてくれるおかげです。私にとっては彼らこそが“あんたが主役”であり、大掃除請負人にはいつも感謝しております。

 毎年、我が家では彼らの仕事ぶりを横目に年賀状を仕上げていますが、年賀状は2003年をピークに減少傾向にあるそうです。この理由としては、メールなどで新年の挨拶をされる方が多くなっているためと思われます。来年のお正月は、静かに過ごすことを求められていますが、年賀状をお休みされている方は久しぶりにご家族や友人に年賀状を送ってみては如何でしょうか。私もコロナ渦の中、日ごろからお世話になっている方々に感謝の気持ちを込めて年賀状をお送りし、新しい年を迎えたいと思います。

  • ちょっとグロテスクな石巻貝掃除屋のMVP !

  • 神の申し子髭の白コリドラス
    人懐っこい第二の功労者さん

  • 臆病もののオトシンクルス吸盤を利用した垂直姿勢が可愛い


形態マガジン号キャプテン 阿南 建一


著作権について

問題

問題1

1-1<設問1>骨髄の細胞同定を行なって下さい。

  • BM-MG.1000

1-2<設問1>骨髄の細胞同定を行なって下さい。

  • BM-MG.1000

1-3<設問1>骨髄の細胞同定を行なって下さい。

  • BM-MG.1000

1-4<設問1>骨髄の細胞同定を行なって下さい。

  • BM-MG.1000

問題2

2-1この症例の形態所見から考えられる疾患は何でしょうか。また、鑑別する疾患とそのポイントも考えて下さい。

【60歳代.男性】1年前の腰痛が悪化しCTにて肝脾腫を指摘され当科に紹介されました。
WBC3.1万/μL、RBC328万/μL、Hb6.3g/dL、Ht33.8%、PLT3.1万/μL

  • BM-MG.1000

  • BM-MG.1000

  • BM-PO.1000

  • BM-EST/PAS.1000

今回のねらい

 今回の細胞編は、骨髄像における赤芽球系細胞を出題しました。
赤芽球系は、核のDNA合成障害による巨赤芽球様変化をとりますので核よりも細胞質の所見を重視した方が同定しやすいと思われます。
 症例編は、僅かな検査所見を参考にして骨髄の正常構築から逸脱した形態所見を理解し、形態診断を行なって下さい。また、形態診断に不可欠な検査所見や鑑別疾患についても考えてみて下さい。

解答・解説

問題 1

今回は、骨髄像における赤芽球系細胞の鑑別について提示しました。赤芽球の共通所見は、核は円形で細胞質の中心に位置し、二次的変化の少ない細胞質の色調から観察すると分類が容易のようです。


【正答】

A-1.多染性赤芽球(大型)、2.多染性赤芽球(正常型)、3.多染性巨赤芽球
B-1.2.好塩基性赤芽球
C-1.多染性赤芽球、2.巨大前赤芽球
D.前赤芽球


【解説】

A-1.細胞径15µm大、2.細胞径11µm大、共に細胞質は多染性の色調、クロマチン網工は粗荒で凝集塊がみられることから多染性赤芽球と思われます。双方の相違点は細胞の大きであり、正常型を9~12µmとすれば1.は2.より大型になります。この大型の多染性赤芽球の意味するところは、再生不良性貧血などでみられる数量的減少に伴う赤芽球のヘモグロビン増量作戦ではないかと思っております。それに比べ、3.は細胞径20µm大とさらに大きくなり、細胞質は多染性の色調ですが、クロマチン網工は粗顆粒状で核に成熟乖離(核の遅延現象)が伺えるため、多染性巨赤芽球と思われます。こちらは、DNA合成障害による核の遅延現象として理解します。

B-1.2.細胞径17µm大、双方とも細胞質は好塩基性で、クロマチン網工は粗顆粒状であることから双方とも好塩基性赤芽球と思われます。

C-1.細胞径9µm大、細胞質は多染性の色調がみられ、クロマチン網工は粗荒で凝集状であることから多染性赤芽球と思われます。2.細胞径30µm大、細胞質は好塩基性で空胞や水泡状の突起物を有し、核は類円形でクロマチン網工は繊細さが伺えます。形状から前赤芽球を疑いますが、大きさはそれより大型であることから巨大化した前赤芽球と思われます。本例はヒトパルボウイルスB19感染症で出現したもので、本ウイルスは赤芽球に親和性を有し前赤芽球は巨大になり、周囲には赤芽球の抑制がみられます。この巨大化した前赤芽球の存在は、本ウイルス感染を疑う所見になりそうです。

D.細胞径22µm大、細胞質は好塩基性で舌状の突起(7時方向)を有し、クロマチン網工は繊細顆粒状であることから前赤芽球と思われます。


問題 2

60歳代、1年前からの腰痛が悪化し、CT検査で肝脾腫を指摘され、末梢血に芽球を認めたため当科に紹介受診されました。貧血と血小板数減少、白血球数増加がみられました。


【解説】

A.[BM-MG.1000] 白血球数増加(3.1万/μL)の血液像で芽球を14%認めました。骨髄の芽球は88.4%と増加し、N/C比は高い傾向で、クロマチン網工は繊細から粗荒のようです。
B.[BM-MG.1000] 芽球は、中央二個の幼若顆粒球に比べて大小不同性、クロマチン網工は粗荒で細胞質には一部に顆粒や小さな突起物を認めました。
C.[BM-PO.1000] 芽球は、PO染色に陰性でした。
D.[BM-MG.1000] 芽球は、ブチレートEST染色に陰性(左)、PAS染色では、一部に細顆粒状からびまん性の陽性がみられました。


【臨床診断】

末梢血および骨髄の芽球は形状、PO染色の陰性からリンパ芽球が疑われます。免疫表現型の検索では、CD10、CD19、CD34、CD79a、HLA-DR、TdTの陽性を確認し、遺伝子検索では免疫グロブリン重鎖遺伝子のIGH-DJの再構成が証明されたことから、前駆リンパ球系腫瘍のBリンパ芽球性白血病/リンパ腫と診断されました。染色体は正常の核型で、従来のPre B-ALLの範疇かと思われます。
PO陰性の急性白血病には、他にAML(M0、M5a、M6b、M7)がありますので、免疫表現型やEST染色、PAS染色などの所見から区分けすることになります。
成人のALLは小児に比べて予後不良とされますが、その不良因子の1つに4;11転座や9;22転座(minor BCR-ABL1)の染色体異常があげられます。

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MAPSS-DX-202011-016

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