3月29日(土)山口県下関市でベックマン・コールター社(B.C)さん主催の血液研修会「下関ふくセミナー」が開催されました。実は5年前の2020年3月に開催される予定でしたが、新型コロナ緊急事態宣言直前という状況で延期となったため心待ちにしていた研修会でもありました。現在でもWeb研修会が多く、対面は久方ぶりです。
会場は済生会下関総合病院の会議室で参加者数21名のもと、進行の谷村さん(B.C)の“老いも若きも頑張りましょう“の掛け声で14時に始まりました。岩崎技師長(済生会下関総合病院)の挨拶で始まり、企業講演を津守さん(B.C)、特別講演「血液形態学の基本に戻る」を私が担当しました。
講演内容は目視法の重要性や末梢血液像の判読法などを中心に、事前配布の細胞画像については解説を織り込み、染色に関するアンケートについては今後フィードバックする予定です。講演時間はあっという間に過ぎ、ついつい延長してしまいましたが意見交換をはじめ、サイン会や皆さんとの写真撮影会まで設定していただき、久しぶりにWebでは経験できない雰囲気を感じました。オブザーバーとして、親友の二反田さん(九州医療科学大学講師)も宮崎から駆けつけてくださいました。
閉会は川田部長が務められ「下関ふくセミナー」は盛会のもと終了しました。大田部長には、セミナーの企画から送迎まで終始大変お世話になりました。ところで、”老いも ?”は私のことでした(笑)。
「下関ふくセミナー」のタイトル名のとおり、下関市では“ふぐ” のことを縁起を担いで「ふく(福)」にしたとの由縁があります。ふくの取扱量は日本一で、市内には全国でも珍しいふくに特化した南風泊市場(はえどまりしじょう)もあります。昼食には講演会場から10kmほどの場所にある「唐戸(からと)市場」に10年ぶりに訪れることができ、肉厚の“まぐろどん”を堪能しました。
本セミナーのような対面の研修会は意見交換の場として欠かせないものであり、これを機にさらに開催されることを期待してやみません。
「下関ふくセミナー」研修会場
(2025.3.29)
唐戸市場
(2025.3.29.PM0時30分頃)
2025年3月号の問題. 下記のご質問をいただきましたがどのようにお答えしますか。
【Q1】 | 当施設では赤血球形態異常の報告は、破砕、球状、連銭形成に注意を配っていますが、 臨床へ迅速に報告する必要な形態異常は何があるでしょうか。 |
【助言1】 | 臨床へ直結する赤血球の形態異常につきましては、日本検査血液学会(2005)は破砕赤血球・球状・涙滴赤血球を推奨しているようです。赤血球集合の連銭形成は多発性骨髄腫など免疫グロブリンの増加などでみられ、赤血球の面と面がつながっていることを確認すれば報告に値します。日本での発生は稀とされる鎌状赤血球やマラリア原虫(特に熱帯熱)も追加したいものです。これらは血管閉塞、溶血など全身性合併症を引き起こし24時間以内に治療しないと重症化し死に至るとされます。渡航歴や外国の日本移民が増加するなか、注視する必要があるかと思います。 |
【Q2】 | 慢性骨髄性白血病(CML)では好塩基球が増加しますが、観察上何%あれば報告したらよいでしょうか。花粉症の時期な好酸球とともに好塩基球も増加することがあり判断に迷うことがあります。 |
【助言2】 | 末梢血の好塩基球数の上限は100/μLですので、それを超える場合は注意を払うようにします。CMLの初期(慢性期)では、幼若顆粒球(芽球の増加はない)や有核赤血球が出現しますが、好塩基球については300/μLまたは500/μLを超えるという報告があります。アレルギー疾患では好塩基球の増加はみられても幼若顆粒球などの出現はみられないと思います。 |
2025年4月号の問題. 下記のご質問をいただきましたがどのようにお答えしますか。
【Q1】 | 検査センターに務めておりますが、血液像を鏡検する場合どのような点に注意を払えばよいでしょうか。 |
【Q2】 | G-CSF投与後に血液像で幼若な顆粒球の出現や粗大な顆粒が目立つ好中球が増加していることがあります。事前に患者さん情報がない場合、CMLや感染症などで出現する中毒性顆粒との鑑別は可能でしょうか。 |
形態マガジン号キャプテン 阿南 建一
「細胞同定」については、骨髄像の鑑別細胞を提示しました。
「ワンポイントアドバイス」は、赤血球の形態異常(破砕・球状・涙滴)の報告、またCMLやアレルギー疾患における好塩基球の捉え方について解説します。
問題1
BM-MG.600
問題
骨髄像の細胞同定を行ってください。
【解説】
1. 直径12µm大、核は類円形で偏在しクロマチンは粗剛、細胞質は好塩基性が強度のことから形質細胞にしました。
2.と4.は双方ともにクロマチンは繊細顆粒状で細胞質は好塩基性が強いことから前赤芽球と思われます。2.は特徴的な突起を有しますが、4.は周囲の細胞に押されて委縮傾向です。
3. 直径17μm大、委縮傾向にあり核は類円形で偏在しクロマチンは粗網状、細胞質は好塩基性で顆粒は一次顆粒とみなし前骨髄球にしました。
5. 直径8μm大、核は円形で凝集状、細胞質は濃青紫色のことから多染性赤芽球にしました。
6.7.は同系細胞で、6.は核が桿状でクロマチンは結節状のことから桿状核球、7.は核が分葉でクロマチンは結節状のことから分葉核球にしました。双方ともに細胞質の顆粒は太めで多すぎることから中毒性顆粒による二次的変化が疑われます。
8. 直径15μm大、核は円錐形で偏在し、顆粒は大きく橙紅色のことから幼若好酸球にしました。
9. 直径14μm大、核は類円形で偏在し、クロマチンは粗剛で細胞質は淡青色のことからリンパ球にしました。
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