第170回「ハンドメイドの“津軽びいどろ” 」2025年8月号

今月のコラム:ハンドメイドの“津軽びいどろ”

 今年の夏は記録的な猛暑となり、せめて気持ちだけでも涼しくなれるようにと、日本の風物詩「風鈴」について調べてみました。

 風鈴は金属や陶器製以外にも、ガラス製の“津軽びいどろ”が有名です。風鈴といえば、暑い地方のイメージですが、東北地方でも作られているとは意外でした。「びいどろ(ビードロ)」はポルトガル語の「vidro(ヴィードロ)」が語源です。日本では1670年、鎖国時代(江戸時代前期)に唯一海外に開かれていたポルトガルやオランダからガラス製造の技術が伝来し、中国の技法をもとに吹きガラスの技法を用いて、長崎県の「長崎ビードロ」が発祥とされています。宙吹き技法で作られたガラス製品を指し、日本人の美意識に合ったガラス製品が作られ、“長崎チロリ”(冷酒用酒器)や大浦天主堂のステンドグラスは代表的な作品です。九州ではほかに博多の秋祭り「放生会(ほうじょうや)」で売られる“博多ちゃんぽん”(音の鳴る玩具)、“肥前びいどろ”、沖縄県の「琉球ガラス」も有名です。

 遠く青森県津軽地方でも、明治時代に漁業用のガラス玉製造が盛んとなり、北洋硝子が浮球製法で培った「宙吹き」の技法を活かし、食器や花器を製造するようになり、1977年に「津軽びいどろ」として誕生しました。青森の四季折々をモチーフにした色使いや、熟練の職人による手仕事による温かみが魅力で、グラス、花瓶、風鈴など、さまざまな製品が作られ、玩具としての“ポッペン”が人気です。

 気になりましたので「津軽びいどろ風鈴」を取り寄せ、早速、紅葉の木に吊るし、音色を楽しんでおります。

 ガラスならではの繊細な音色“チリンチリン”が魅力で、ぽってりと厚みのあるガラスが、柔らかく澄んだ響きをたてそっと癒してくれます。風鈴はα波を誘発しリラックス効果をもたらすといわれますので、続く猛暑を乗り越えようと思います。

  







    2025年7月号の問題.  
    下記のご質問をいただきましたがどのようにお答えしますか。

    【Q1】 Q1.8;21転座のAML(M2)の場合、顆粒球系細胞の形態異常を詳しく教えてください。また、8:21転座はM2の他にみられますか。
    【助言1】 本型は他のAMLに比し、RUNX1::RUNX1T1融合遺伝子を伴い顆粒球系の分化傾向が強く、形態異常を呈することが特徴です。芽球は顆粒を有する芽球(TypeⅡ)が多く、それに伴い多様性のアウエル小体(長い・短い・松葉状)を認めます。骨髄球の細胞質には好塩基性の縁取りを認めることから分化度の強さがうかがえます。また好中球には低顆粒や偽ペルゲル核異常を認めます。本型は芽球の比率がAML基準の20%を越えないことがありますが、WHO分類では、遺伝子異常で定義されるAMLとして分類されます。
    【Q2】 リンパ形質細胞性リンパ腫と原発性マクログロブン血症の鑑別がつきません。また、マクログロブリン血症はどの位の頻度でみられますか。
    【助言2】 リンパ形質細胞性リンパ腫(lymphoplasmacytic lymphoma:LPL)は、低悪性度B細胞リンパ腫の一型で、小型B細胞リンパ球、形質細胞への分化傾向にあるリンパ球、形質細胞が混在したリンパ系腫瘍と定義されます。ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(Waldenström’s macroglobulinemia:WM)は、骨髄浸潤とIgM型M蛋白血症を伴うLPLのサブセットとして定義され、LPLの90〜95%を占めるとされます*。IgM型M蛋白血症を伴うB細胞リンパ腫はLPL以外(例えば、IgGやIgAタイプ)にも低頻度ながら認められるため、診断上、注意が必要になります。
    (*造血器腫瘍診療ガイドライン.2024)  







      2025年8月号の問題.  
      下記のご質問をいただきましたがどのようにお答えしますか。

      【Q1】 神経芽腫など腫瘍細胞が孤発性に出現した場合、芽球との鑑別方法はありますか。
      【Q2】 細胞分類で、前骨髄球か骨髄球かを鑑別するのに悩むことがあります。同様に、前赤芽球か好塩基性赤芽球か悩むこともあります。鑑別をどのようにしたらよいか教えてください。

      形態マガジン号キャプテン  阿南  建一

      MAPSS-DX-202508-24

      著作権について

      今回のねらい

      「細胞同定」については、骨髄像の鑑別細胞を提示しました。画像は高倍率(1,000倍)で提示しています。細胞の大きさは赤血球の大きさを対照にしてください。
      「ワンポイントアドバイス」は、8:21転座AMLの形態像、リンパ形質細胞性リンパ腫と原発性マクログロブリン血症の鑑別について解説します。

      問題

      問題1

      1-1骨髄像の細胞同定を行ってください。

      1-2骨髄像の細胞同定を行ってください。

      • BM-MG.1000

      1-3骨髄像の細胞同定を行ってください。

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