第111回 「マンスリー形態マガジン」 2020年7月号

『夜間飛行への誘い(いざない) ~ over the night sky ~ 』


  夜のしじまの中、新しい日付を告げる時報が過ぎる頃、FMラジオからフランク・プゥルセル・グランド・オーケストラが奏でる「ミスター・ロンリー」が流れ、城達也さんの静かな語り口調で“遠い地平線が消えて、深々とした夜の闇に心を休める時‥” と夜間飛行のナビゲーションが始まる音楽の定期便『ジエット・ストリーム』にはよく耳を傾けたものです。『ジエット・ストリーム』は、1967年(昭和42年) FM東海で放送が開始され、放送回数は1万回を数え、現在も続いている長寿番組です。この夜間飛行の初代機長を務められた城さんは、放送開始から27年間、7,387回のナビゲーターを担当され、城さんのだれをも包み込むようなやさしい語りがこの番組の最大の魅力でした。また、城さんは、私と同郷の大分県出身、背格好、血液型も同じこともあり大変身近に感じていました。
  さて、この『ジエット・ストリーム』のもう一つ魅力は、番組の中で機長が紹介するさまざまなイージーリスニングの名曲たちです。ポール・モーリア、マントヴァーニ、リチヤード・クレダーマン(ピアノの貴公子 )、カーメン・キャバレロ(ピアノの誌人 )らの演奏とともに、機長から世界の国々や都市が紹介され、当時はまだ見ぬ旅先に旅情をそそられたものでした。昨年、当時の番組で紹介された名曲119曲のCDボックスを購入しました。収録曲には、恋はみずいろ、シバの女王、男と女、ムーンライト・セレナーデ、夜霧のしのび逢いなど盛り沢山で、これらが素敵な旅を約束してくれます。また、ガイドブックには、著名人のエッセイやナレーションの原詩が掲載され、世界の国々の映像も視聴できますので、いつでも夜間飛行に搭乗ができます。
  現在、新型コロナ禍により遠方の旅行を控えていらっしゃい方も多いかと思われますが、このような状況で皆さまも一度『ジエット・ストリーム』に搭乗されてはいかがでしょうか。素敵な夜間飛行をお約束させていただきます。今回の夜間飛行のお供をいたしました機長は私、阿南建一でした。また来月の誌上でお会いしましょう。



遠い地平線が消えて、
 ふかぶかとした夜の闇に
心を休める時 ‥‥

(イラスト.唐仁原彩瑛さん)

形態マガジン号キャプテン 阿南 建一


著作権について

問題

骨髄の細胞同定を行なって下さい。

1-1<設問1>末梢血の細胞同定を行なって下さい。

  • PB-MG.1000

1-2<設問1>末梢血の細胞同定を行なって下さい。

  • PB-MG.1000

1-3<設問1>末梢血の細胞同定を行なって下さい。

  • PB-MG.1000

1-4<設問1>末梢血の細胞同定を行なって下さい。

  • PB-MG.1000

この症例の形態所見から考えられる疾患は何でしょうか。また、鑑別する疾患とそのポイントも考えて下さい。

2-1この症例の形態所見から考えられる疾患は何でしょうか。また、鑑別する疾患とそのポイントも考えて下さい。

【小児例】
WBC1,600/μL、RBC392万/μL、Hb11.0g/dL、Ht37.5%、PLT20.2万/μL、NCC46.3万/μL、CD19+、CD34+、HLA-DR+、smIg-

  • PB-MG.1000

  • BM-MG.1000

  • BM-PO.1000

  • BM-PO/PAS.1000

今回のねらい

  細胞編は、血液像において同類細胞と鑑別細胞を出題しました。
なかには正常型と異なる形態を示すものもあり、それがどのような状況にあるのかも推測する必要があります。



  症例編は、僅かな検査所見ですが、光顕的診断に至るまでの必要な検査や形態所見について考えて下さい。目につく形態所見を捉えることは重要ですが、それが落とし穴になりかねない場合もあり、鑑別を要する疾患を考えながら形態診断を行なってみて下さい。

解答・解説

問題 1

今回は、末梢血液像の細胞同定に挑戦します。

【正答】
A-1.大型血小板、2.正常血小板、3.巨大血小板、B-1.好酸球、2.リンパ球、
C-1.リンパ球、2.リンパ球、D-1.異型リンパ球、2.単球

【解説】

A. 3個の細胞は血小板です。正常の大きさは2~3µmとされますので、2.が正常血小板になります。それより大きい(1)は6µm大で大型血小板となり、さらに大きい(3)は10µm大で巨大血小板として区分されます。この区分には、周囲の赤血球の大きさ(7~8µm)を対照にして、それと同等大を大型、それより大きいものを巨大血小板として判定することも可能です。尚、2µm未満は微小血小板とされ、臨床的意義があるものは巨大血小板と微小血小板になりますので出現機序を理解しておいて下さい。

B. 1.細胞径14µm大で好中球より少し大きいようです。核は二核で核糸が不明、細胞質の顆粒は好酸性の色調でやや小型、顆粒間には脱顆粒がみられます。顆粒の色調から好酸球を考え、脱顆粒は好酸性の粗大顆粒ではないかと思われます。これは化療法中に出現した形態異常であり、好中球は除外することになります。2.細胞径7μm大の小型、N/C比は高いながらも12時方向に淡青色の僅かな細胞質を認めます。クロマチンは、凝集塊を認め粗荒であることから小リンパ球と思われます。

C. 1.2ともに12µm大でN/C比の低い顆粒リンパ球と思われます。1.細胞質に核の一部が剥離したような封入体を認め、淡青色の細胞質にはアズール顆粒が分散してみられます。尚、この封入体の出所は不明です。2.クロマチン網工は粗荒で、淡青色の細胞質にはやや大型のアズール顆粒が分散してみられます。

D. 細胞径16µm大の大型とN/C比が低いことは共通所見ですが、核形不整とクロマチン、また細胞質の色調が異なります。1.核形不整はなく、クロマチン網工は粗荒で、細胞質の好塩基性が強度であることから異型リンパ球と思われます。2.核内に切れ込み(矢印)がみられ、クロマチン網工はやや繊細で灰青色の細胞質には、微細なアズール顆粒と空胞がみられることから単球と思われます。

問題 2

小児例で、貧血と白血球数減少を指摘後、紹介来院されました。末梢血液像で芽球を認めたため入院となりました。また、リンパ節腫はなく肝脾腫を認めました。

【解説】

(PB-MG.1000)

(BM-MG.1000)

(BM-PO.1000 )

(BM-PAS.1000)

A.[PB-MG.1000] 白血球数減少(1,600/μL)のなか、芽球を13%認め、一部に集塊を認めました。芽球は、大型で核形不整や核内に顕著な空胞を認めました。一般に空胞は細胞質内に存在するものですが、顕著な核形不整のため、核内上に存在しているかのように見えたものと思われます。
B.[BM-MG.1000] 骨髄の芽球は90%と増加し、細胞質内に明瞭な空胞を有するものが多く、それは打ち抜き状としてみられました。
C.[BM-PO.1000] 芽球はPO染色に陰性でした。また、EST染色も陰性でした。
D.[BM-PAS.1000] 芽球は、PAS染色で小さな点状陽性(矢印)として28%認めました(一次スクリーニングでは陰性と判定)。

【臨床診断】
本例は、筆者が20年ほど前に一次スクリーニングで誤診した症例です。MG染色で“顕著な空胞”からバーキット白血病/リンパ腫(BL)を疑い、BLは、PAS染色に陰性という先入観が先走ったことによるものでした。
しかし、当院の免疫表現型検査(筆者担当)で肝心の表面免疫グロブリン(smIg)の発現は認めず(BLはsmIg陽性)、PAS染色標本を再鏡検したところ、小さな点状陽性を認めたことで、BL以外を考えることになりました。免疫表現型でCD19、CD34、HLA-DRが陽性でしたので早期の B-ALLを疑い、結局、BLに特有とされる8:14転座やc-myc/IgH遺伝子異常は、認められなかったことからEary B-ALLと診断されました。BLという形態の先入観によって、PAS染色の小さな点状陽性を見逃したことになります。ちなみに、BLのPAS陽性例は1例(IgG,λ)を経験したことがありますが、それは顆粒状の陽性態度で、決して点状の陽性ではありませんでした。先走りする先入観には注意喚起が必要です。

 



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