第134回「マンスリー形態マガジン」2022年6月号

『ご飯のお供にサッサッと、愛しの“ふりかけ”物語』

 今回、みなさまのご家庭にも必ず備えられている“ふりかけ”について探索してみたいと思います。“ふりかけ”は、さまざまなメーカーが原料素材を生かした新しい商品を次々に発売し、スーパーなどの陳列棚には数十種類もの“ふりかけ”が彩りも鮮やかにところ狭しと並べられています。また、サラダドレッシング、パスタのトッピングなど「ごはんとふりかけ」といったこれまでの枠を超えた新商品が登場し、ご家庭の食卓に新しい食文化を創造しています。

 さて、“ふりかけ”のルーツは、諸説あるようですが大正時代初期、薬剤師の吉丸末吉氏(熊本県)によって考案されたそうです。当時の日本は、食料不足でカルシウムが慢性的に不足していたため、美味滋養を目的とし、老若男女のごはんのお供として開発されました。長崎産のいりこと甘辛いしょうゆを素材として味付けをしたものを顆粒状にして乾燥することでサクサク感と風味を作り出したそうです。この後、この“ふりかけ”は『御飯の友』として商品化され、口コミでも広がったことで100年以上経った今日でも店頭に並べられているロングセラーになっています。

 現在、国内で“ふりかけ”の製造販売を行っている会社は150社にも及んでいるそうです。それぞれが商品化している“ふりかけ”は、大変ユニークで定番以外の食材として、にんにく、海軍カレー、桜エビ、黒豚、中津からあげ、骨付き鳥など地域の特産品が“ふりかけと”の素材として使用してされています。また、これらの“ふりかけ”の日本一を決める全国ふりかけグランプリが開催されており、今年も11月6日、“ふりかけ”の聖地熊本県で開催されます。日本人のソウルフードでもある“ふりかけ”ですが、昨今の日本食人気から海外でも「furikake」として紹介され、ポキボウルのライスのお供、サーモン料理の調味料としても使用されており国際的な広がりを見せているようです。

 先日、福岡天神のデパ地下で久しぶりに「御飯の友」 を入手し、アツアツ御飯のお供として昔を懐かしく思いながら味わいました。今年の梅雨明けは、全国で記録的な早さになった様子です。夏本番で猛暑が続きますとどうしても食欲不振になりがちです、みなさまもご飯にササっと“ふりかけ”て今年の夏を乗りきっていただければと思います。

(資料:ふたば苑資料館より)

 

  • 熊本市西区に位置する“ふりかけ”発祥の地、株式会社フタバ工場を見学しました。
    (写真提供:井上佳那子さん.2022.5.7)


  • “ふりかけの元祖” として食卓の名わき役は今も現役です。

  • ヨーグルトにマッチングする“すくすくふりかけ”もあります。



形態マガジン号キャプテン 阿南 建一


MAPSS-DX-202206-30


著作権について

今回のねらい

今回の細胞編は、骨髄像において鑑別を要する細胞を出題しました。
細胞を拡大して提示しましたので、核質ならびに細胞質の所見を詳細に観察してみてください。
症例編は、WHO分類改訂第4版(2017)で変更された病型を提示しました。芽球の比率はもとより背景の異形成にも着目したいところです。

問題

問題1

1-1<設問1> 骨髄の細胞同定を行ってください。

  • BM-MG.1000

1-2<設問2> 骨髄の細胞同定を行ってください。

  • BM-MG.1000

1-3<設問3> 骨髄の細胞同定を行ってください。

  • BM-MG.1000

1-4<設問4> 骨髄の細胞同定を行ってください。

  • BM-MG.1000

1-5<設問5> 骨髄の細胞同定を行ってください。

  • BM-MG.1000

1-6<設問6> 骨髄の細胞同定を行ってください。

  • BM-MG.1000

問題2

2-1<設問> この症例の形態所見から考えられる疾患は何でしょうか。 また、鑑別する疾患とそのポイントも考えてください。

【成人例】 全身倦怠感、出血斑出現のため来院。汎血球減少を指摘され骨髄検査が施行された。
WBC 1,200/μL(Blast 7%)、RBC 320万/μL、Hb 9.2g/dL、Ht 27.1%、MCV 84.7fL、PLT 2.3万/μL
NCC 38.6万/μL、環状鉄芽球<5%(全体像と矢印の形態所見から診断してみてください)

  • BM-MG.400

  • BM-MG.600

  • BM-MG.1000

  • BM-MG/PAS.1000

解答・解説

問題 1

骨髄における類似細胞を高倍率で提示し、核および細胞質所見の詳細な観察に挑戦しました。

 

【正答】

A-1.前骨髄球
B-1.前骨髄球(幼若型)
C-1.前単球
D-1.前単球(幼若型)、2.多染性赤芽球、3.単球、4.分葉核球
E-1.前骨髄球、2.骨髄球、3.好塩基球
F-1.前単球

【解説】

A-1.細胞径23μm大、核は類円形で偏在性、クロマチン網工は粗顆粒状で核小体を認め、細胞質は一次顆粒を思わせる粗大な顆粒が充満していることから前骨髄球と思われます。

B-1.細胞径21μm大、核はほぼ円形で偏在性、クロマチン網工は繊細で核小体を認め、細胞質は粗大顆粒が充満しています。核質は芽球類似ですが、粗大顆粒を考慮すると芽球から前骨髄球への移行型として幼若な前骨髄球と思われます。また、前単球にも類似していますが、核質の粗さと粗大顆粒が合致しないようです。

C-1.細胞径21μm大、核は類円形で中心性、核形不整がみられクロマチン網工は繊細網状で核小体を認め、細胞質は軽度の好塩基性で微細顆粒を有することから前単球と思われます。

D-1.細胞径18μm大、核は円形でほぼ中心性、核形不整がみられクロマチン網工は繊細網状で明瞭な核小体を多く認め、細胞質は軽度好塩基性で微細顆粒を有することから幼若な前単球と思われます(B-1.と要鑑別)。
D-2.細胞径8μm大、核は円形でクロマチン網工は凝集塊状、細胞質は青色の多染性の色調から多染性赤芽球と思われます。
D-3.細胞径14μm大、核は類円形でクロマチン網工は繊細ながら空胞を有し、細胞質の色調は掴めませんが単球と思われます。
D-4.細胞径12μm大、核は折れ曲がりクロマチン網工は粗剛で結節がみられることから分葉核球と思われます。

E-1.細胞径21μm大、核は類円形でやや偏在性、クロマチン網工は粗顆粒状で核小体は不明瞭、細胞質は軽度の好塩基性で粗大顆粒やゴルジ野もみられることから前骨髄球と思われます。
E-2.細胞径15μm大、核は円形で偏在性、クロマチン網工は粗剛、細胞質は橙黄色で顆粒は小さく二次顆粒を思わせることから骨髄球と思われます。
E-3.細胞径12μm大、核はほぼ円形でクロマチン網工は不鮮明ながら顆粒を認め、細胞質は顆粒の欠落を認め、紫褐色のやや大きな顆粒を有することから好塩基球と思われます。

F-1.細胞径22μm大、核は中心性で核形不整、クロマチン網工は繊細網状で核小体を認め、細胞質は軽度好塩基性で微細顆粒や空胞を有することから前単球と思われます。



問題 2

この症例の形態所見から考えられる疾患は何でしょうか。また、鑑別する疾患とそのポイントも考えてください。

【成人例】 全身倦怠感、出血斑出現のため来院し、汎血球減少を指摘され骨髄検査が施行された。
WBC 1,200/μL(Blast 7%)、RBC 320万/μL、Hb 9.2g/dL、Ht 27.1%、MCV 84.7fL、PLT2.3万/μL
NCC 38.6万/μL、環状鉄芽球<5%(全体像と矢印の形態所見から診断してください)

乳児の患者さんで、発熱はなく精巣(睾丸)の腫れに母親が気づいて来院しました。
精巣部分の腫れについては左睾丸腫瘍と診断され、左睾丸腫瘍摘出と骨髄穿刺が行われました。
血算では貧血(Hb 8.9g/dL)以外に異常はなく、骨髄のNCCは18.2万/μLでした。

【解説】

A.[BM-MG.400] 骨髄は過形成で赤芽球系が78.5%と増加し、それらには分化過程がみられました。
B.[BM-MG.600] 赤芽球系優位のなか、芽球(矢印)は中央に3個認めますが非赤芽球(赤芽球を除く)中の16%、ANC中の7.5%でした。アウエル小体は認めませんでした。
C.[骨髄-MG.1000] 骨髄では赤芽球系に核異型、多核や核融解像(青矢印)を認め、顆粒球系に低分葉核好中球や低顆粒好中球(赤矢印)の異形成を認めました。
D.[骨髄-MG/PAS.1000]  顆粒球系に低分葉核好中球(赤矢印)を認め、赤芽球系に左右非対称核(青矢印)、成熟赤芽球にはPAS染色のびまん性陽性(青矢印)を認め、環状鉄芽球は5%未満でした。


【臨床診断】

本例の形態診断における大きなポイントは、WHO分類改訂第4版(2017)で芽球比率の計算が、従来の赤芽球比率からANC中比率に変更したことにあります。従って、芽球比率は従来法であれば非赤芽球中の16%、改訂版ではANC中の7.5%になります。整理しますと、芽球は末梢血に7%、骨髄に7.5%になり、背景には二系統に上記の異形成を認めたことから骨髄異形成症候群(MDS)の病型になります。末梢血の芽球比率(7%)は、MDS基準(2~4%)を僅かに超えていますが誤差範囲と考え、骨髄の芽球比率がMDS基準(5~9%)内で、かつ環状鉄芽球が5%未満であることから芽球増加を伴うMDS(MDS-EB-1)と診断されました。成熟赤芽球のPAS染色のびまん性陽性は腫瘍性を意味する所見と思われます。このように芽球比率の算定が変更されたことにより、関連するAML-M6aについては、芽球が20%以上の場合は他のAMLへ、芽球が20%未満の場合は本例のようにMDSへ診断されるようになりました。

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