風薫る季節、今年も「第68回波佐見陶器まつり」が4月29日~5月5日に開催され、来場者数約26万人という盛況のうちに閉幕しました。「波佐見焼」は長崎県波佐見市で生産されており、佐賀県有田町の「有田焼」の産地から、バスで約30分の距離にあります。私は毎年「有田陶器市」に足を運んでいましたが、今年は5月2日に、4回目となる波佐見陶器まつりへ出かけました。今回も愉快な仲間たち8人と現地集合という企画でした。会場は「やきもの公園広場」を中心に数か所へ集約されており、見て回りやすい一方で、多くの来場者で賑わい、人混みに少々疲れるほどでした。
そんな疲れを癒してくれたのが、水晶彫りで知られる「丹心(たんしん)窯」との出会いです。白磁に宿る水晶のような透明感がとても上品で、コーヒーカップとケーキ皿、マグカップを購入しました。1980年(昭和55年)創業の波佐見焼の窯元「丹心窯」の水晶彫りは天草産の上質な白磁生地に小さな穴を彫り、そこへ秘伝の粘土を詰めて焼成することで、水晶のような輝きと透明感を生み出す独自技法です。手彫りによる繊細な加工に加え、1,300度の高温で2回焼成するなど、一つひとつ丁寧に手間ひまかけて作られています。また、46年にわたり受け継がれてきた窯の作風と技法を大切にしながら、現代の生活様式に調和する水晶彫りにも挑戦されているようで、大変印象に残りました。
来年もぜひ再び訪れてみたいと考えております。

7月号の問題は、このページの下部にあります。
1. 細胞同定ナビ
2. 症例鑑別(理由記述式)
3. モヤモヤ解消ラボ:血液形態Q&A

形態マガジン号キャプテン 阿南 建一

今回で第180回を迎えました。2026年6月号より、各コーナーをリニューアルし、新たな内容でお届けしております。
「編集コラム」(名称改め)は、現代の視点と過去へのタイムスリップを織り交ぜながら、ときには五感による描写も交え、素人ながらの目線で表現していきたいと思います。
「細胞同定ナビ」(名称改め)は、末梢血液像および骨髄像における“鑑別を要する紛らわしい細胞の判読”に挑むコーナーです。今回は骨髄編をお届けします。
「症例鑑別(理由記述式」(新設)は、類似する疾患の細胞像を並列して提示し、設問に対する疾患を選択するとともに、その理由を言語化するコーナーです。今回は、慢性骨髄性白血病(CML)をテーマとしました。
「モヤモヤ解消ラボ:血液形態Q&A」(名称改め)は、研修会などで寄せられた質問の中から毎回2題を取り上げ、翌月号で解説するコーナーです。今回は、巨赤芽球性貧血におけるMCVの評価と、そこに鉄欠乏が合併した際の赤血球形態の変化について取り上げます。
1. 細胞同定ナビ
BM-MG.1000

BM-MG.1000

BM-MG.1000

BM-MG.1000

2. 症例鑑別(理由記述式)
A. 60歳代: WBC 3.7×10^9/L, RBC 1.84×10^12/L, Hb 8.0g/dL, Ht 24.7%, PLT 83×10^9/L, BM-NCC 375×10^9/L
B. 60歳代: WBC 2.4×10^9/L, RBC 2.36×10^12/L, Hb 7.6g/dL, Ht 24.7%, PLT 96×10^9/L, BM-NCC 304×10^9/L
BM-MG.600

3. モヤモヤ解消ラボ:血液形態Q&A
Q1. 伝染性単核球症では、EBVはB細胞に感染するにもかかわらず、末梢血に出現する異型リンパ球の主体はCD8陽性T細胞とされています。この現象はどのような免疫応答によるものなのでしょうか。また、EBVに完成したB細胞は体内でどのような運命をたどるのでしょうか。
Q2. 異型リンパ球(反応性リンパ球)の形態について教えてください。特に細胞質の好塩基性が強くなる理由や細胞質に顆粒を認める場合の意義(アグレッシブNK細胞白血病との鑑別)、また軽度の核形不整がみられる機序を教えてください。
【問題】 骨髄像の細胞同定を行ってください。
【解説】

A-1. 直径約14μm。核は湾曲しバナナ状で、クロマチンは粗剛で凝集(結節)状を呈しています。細胞質は橙紅色で顆粒は細かく二次顆粒とみなし桿状核球と判定しました。
A-2. 直径約15μm。核は円形でやや偏在し、クロマチンはやや粗剛です。細胞質の好塩基性は薄れ、顆粒は細かく二次顆粒とみなし骨髄球と判定しました。
A-3. 直径約14μm。核は楕円形で僅かに陥凹を認め、クロマチンは粗剛です。細胞質は淡橙黄色で顆粒は細かい二次顆粒とみなし後骨髄球と判定しました。
A-4. 直径約12μm。核は3~4分葉で核糸を認め、クロマチンは粗剛で凝集状です。細胞質は橙紅色で、顆粒は細かく二次顆粒とみなし分葉核球と判定しました。
A-5. 直径約21μm。N/C比はやや高く、核は偏在傾向です。クロマチンは粗網状で核小体を認めます。細胞質は好塩基性で顆粒は粗大で一次顆粒とみなし前骨髄球と判定しました。

B-1. 直径約17μm。核は円形で偏在し、クロマチンはやや粗剛です。細胞質は橙黄色を呈し、顆粒は細かく二次顆粒とみなし骨髄球と判定しました。
B-2. 直径約15μm。核は不整形で、クロマチンは繊細です。細胞質は淡青色で微細なアズール顆粒を認めることから単球と判定しました。

C-1. 直径約15μm。核は分葉を呈し、クロマチンは粗剛で凝集状です。細胞質は橙赤(紅)色の粗大顆粒を認めることから好酸球と判定しました。
C-2. 直径約18μm。核は類円形で、クロマチンは粗剛です。細胞質は赤紫色の粗大顆粒が充満し、一部は核上にも認められます。顆粒の大きさと色調から幼若好酸球と判定しました。幼若好酸球では、一次顆粒(アズール顆粒)に加えて、好酸球特異顆粒が形成され始めるため、顆粒は赤紫色~暗赤色調を呈し、成熟に伴って橙赤色の特異顆粒が明瞭となります。

D-1.直径約7μmの小型。核はほぼ円形で凝縮し、クロマチン構造は判別困難です。細胞質は橙紅色のことから正染性赤芽球と判定しました。
D-2.3. 直径約8μm。核は円形で中央に位置し、クロマチンは粗剛で凝集状です。細胞質は淡青紫色で一部に不染部を認め、全体像から多染性赤芽球と判定しました。
D-4. 直径約12μm。核は2分葉または二核を呈し、クロマチンは粗剛で凝集状です。細胞質の橙紅色で二次顆粒を認めることから分葉核球と判定しました。
【問題】 AとBのうち、どちらが巨赤芽球性貧血の骨髄像ですか。その理由と診断を裏付ける検査をお答えください。
A. 60歳代:WBC 3.7×109/L, RBC 1.84×1012/L, Hb 8.0g/dL, Ht 24.7%, PLT 83×109/L, BM-NCC 375×109/L
B. 60歳代:WBC 2.4×109/L, RBC 2.36×1012/L, Hb 7.6g/dL, Ht 24.7%, PLT 96×109/L, BM-NCC 304×109/L
【解答】 巨赤芽球性貧血は(A)です。
【解説】

A. 本例は胃切除後の患者さんです。末梢血では汎血球減少を認め、MCV 134.2fL、MCHC 32.3g/dLであり、大球性正色素性貧血を呈しています。末梢血液像では、巨赤血球(12μm以上)や赤血球の大小不同、さらに過分葉核好中球を認めました。RDWは高値であり、赤血球の大小不同を反映する所見となります。骨髄は、有核細胞数37.5万/μLとやや過形成で、M/E比は0.8と低値を示し、芽球の増加は認めません。赤芽球系は成熟過程を示すものの、巨赤芽球変化が顕著です。顆粒球系には巨大桿状核球や過分葉核好中球を認めました。また巨核球系には明らかな形態異常は認めませんでした。
胃切除の既往を考慮すると、これらの形態異常は、DNA合成障害に起因するものと考えます。ビタミンB12および葉酸を検査したところ、ビタミンB12の低値を認め、MDSを示唆する形態異常や遺伝子異常を認めなかったことから胃切除後の巨赤芽球性貧血と診断されました。

B. 本例は骨髄異型性腫瘍(MDS)の症例です。末梢血では汎血球減少を認め、MCV 104fL、MCHC 30.7g/dLであり、大球性貧血を呈しています。末梢血液像では、軽度の奇形赤血球に加え、偽ペルゲル核異常好中球や脱顆粒の好中球を認めました。骨髄はやや過形成で、M/E比は高値を示し顆粒球系が優位でした。顆粒球系には偽ペルゲル核異常や脱顆粒の好中球、赤芽球には核異型性、巨核球系には分離した二核や低分葉核巨核球を認めました。大球性貧血に加え、三系統におよぶ異形成所見や染色体検査で20q-異常を認めたことから骨髄異形成腫瘍(MDS)と診断されました。
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【出題のねらい】 巨赤芽球性貧血とMDSは、どちらも骨髄で血球が十分に育たず、形態異常が現れる点で似ています。しかし、前者はビタミンB12や葉酸不足による一時的なDNA障害のため治療で治りますが、後者は造血幹細胞の遺伝子異常が原因の白血病になりやすい病態であるため、正確な鑑別が欠かせません。 |
【問題】 下記のご質問をいただきましたがどのようにお答えしますか。
| Q1 | 伝染性単核球症では、EBVはB細胞に感染するにもかかわらず、末梢血に出現する異型リンパ球の主体はCD8陽性T細胞とされています。この現象はどのような免疫応答によるものなのでしょうか。また、EBVに感染したB細胞は体内でどのような運命をたどるのでしょうか。 | |
| Ans. | EBV(Epstein-Barr virus)は咽頭上皮で増殖した後、B細胞表面のCD21を介してB細胞に感染します。感染したB細胞はEBV抗原をMHCクラスⅠ上に提示し、これを認識したCD8陽性T細胞(細胞傷害性T細胞)が活性化・芽球化して増殖します。この活性化T細胞が、末梢血に出現する異型リンパ球(Downey細胞)の正体です。 したがって、伝染性単核球症の異型リンパ球はEBVに感染したB細胞ではなく、感染B細胞を排除するために反応性に増殖したCD8陽性T細胞であることが最も重要なポイントです。 |
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| Q2 | 異型リンパ球(反応性リンパ球)の形態について教えて下さい。特に細胞質の好塩基性が強くなる理由や細胞質に顆粒を認める場合の意義(アグレッシブNK細胞白血病との鑑別)、また軽度の核形不整がみられる機序を教えてください。 | |
| Ans. | 異型リンパ球(反応性リンパ球)は、抗原刺激により活性化されたT細胞であり、一般に大型(約15~30 μm)で、豊富な強好塩基性細胞質を有し、時にアズール顆粒を認めます。核は軽度不整形で、クロマチンはやや粗剛化します。細胞質の強い好塩基性は、サイトカインや細胞傷害性蛋白の産生に伴い、リボソーム(RNA)や粗面小胞体が増加し、活発な蛋白合成を反映した所見です。アズール顆粒は、パーフォリンやグランザイムを含む細胞障害顆粒であり、活性化CD8陽性T細胞にみられる生理的反応です。一方、アグレッシブNK細胞白血病では、粗大なアズール顆粒や高度の核形不整を示し、血球減少、肝脾腫、高LDH血症、免疫表現型、急速な臨床経過を含めて総合的に鑑別します。軽度の核形不整は、抗原刺激によるリンパ球の活性化に伴い、DNA転写やクロマチン再構築、核容積の増大が生じることで出現すると考えられています。 | |
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