第94回 「マンスリー形態マガジン」 2019年2月号

『いだてん~東京オリンピック噺~』

  今年のNHK大河ドラマは、「いだてん ~東京オリンピック噺(ばなし)~」(1月6日放送)で幕開けです。数々の挫折を乗り越え、箱根駅伝の創設に携わった“日本マラソンの父”の金栗 四三(かなくりしぞう)」氏の生涯を紹介したものです。
  金栗四三氏は、1891年、熊本県春富村(現.和水町)に生まれ、玉名北高等小学校から玉名中学校(現.熊本県立玉名高校)に進学し、特待生に選ばれるほど優秀な生徒でした。毎日往復約12kmの通学路をかけっこで通うことで脚力が鍛えられ、これがマラソンランナーの足固めとなりました。1910年、東京高等師範学校(現.筑波大学)に進学し、当時の校長は、講道館柔道の創始者で日本のオリンピック参加に尽力された嘉納治郎氏でした。嘉納氏は、これらの功績によって“日本の体育の父”と呼ばれるようになりました。
  金栗氏は、1911年、国際オリンピック大会選手予選会の25マイル(約40km)マラソンに参加し、当時の世界記録を上回る2時間32分45秒で優勝しました。1912年には日本人初のオリンピック選手としてストックホルム五輪マラソンに出場しましたが、暑さのため26.7キロ付近で棄権し、その申告を怠ったことで現地では“消えたオリンピック走者”と呼ばれたそうです。その後、国内大会では多くの優勝杯を手にし、1924年のパリ五輪にも参加しましたが、32.3キロ付近で意識不明のために棄権し、この大会を最後に陸上競技の第一線から退きました。引退後は、師範学校教師、熊本県初代教育委員長などを歴任し、1962年、玉名市名誉市民として顕彰されました。晩年、玉名市で過ごした金栗氏は、1983年、92歳でその生涯を閉じました。
  また、金栗氏は、引退後に東京箱根間往復駅伝競走(箱根駅伝)の開催に尽力し、ご自身の経験から持久力を養う高地トレーニングなど新たな練習法を考案され、世界で戦える若人の育成を図ったようです。尚、マラソンシューズの原型となる靴底にゴムを貼った“金栗足袋”を考案し、実用化しました。
  箱根駅伝では、金栗氏が箱根駅伝創立に尽力されたことで、2004年から最優秀選手(MVP)に対して「金栗四三杯」が贈呈されることになりました。今年で95回を迎えた箱根駅伝は、東海大学の総合優勝で幕を閉じ、MVPには八区の区間記録を22年振りに塗り替えた東海大小松陽平(3年)選手が選ばれました。
  ところで、“いだてん”は、何を表しているかご存知でしょうか。“いだてん”とは、仏教界において天部に属する神様「韋駄天(いだてん)」を示し、足の速い神様のため、足の速いランナーに対して贈られる称号です。素人なりにも5回のフルマラソンを完走している私ですが、今年も一年間途中棄権のないよう全力で走り続けたいと思います。

形態マガジン号キャプテン 阿南 建一 


著作権について

問題

末梢血液像の細胞同定を行なって下さい。何か異常所見はありますか。

1-1<問題1-A,B>

  • PB-MG×1000

1-2<問題1-C,D>

  • PB-MG×1000

1-3<問題1-E>

  • PB-MG×1000

1-4<問題1-F,G>

  • PB-MG×1000

光顕的所見から臨床診断を考えて下さい。

2-1<設問1>

【所見】
【1~5歳.男性】主訴:貧血、出血傾向
WBC41,500/μL、RBC172万/μL、Hb5.7g/dL、Ht17.1%、PLT1.4万/μL、NCC18.6万/μL

  • PB-MG×1000

  • BM-MG×1000

  • BM-PO/PAS×1000

  • BM-ACP/A-EST×1000

今回のねらい

  今回は、細胞同定と症例検討を提示しました。
細胞同定は、末梢血の形態所見をどのように捉え、正常と異常の境をどこにおいて同定するのかに挑戦します。好中球系と単球系の細胞を提示しました。
症例編は、わずかな臨床像と検査データから次なる検査を模索し、骨髄像から臨床診断を試みて下さい。

解答・解説

問題 1

   末梢血液像の細胞同定を行なって下さい。何か異常所見はありますか。

【解説】

PB-MG.1000





本例は、骨髄異形成症候群(MDS)の末梢血液像にみられた白血球の形態像です。正常型とどこか異なる所見もみられるようですので、順を追って判読してみたいと思います。尚、判読には私見が入っておりますので、腑に落ちない箇所は参考までにして下されば幸いです。

【正答】
A-分葉核好中球、B-1.分葉核好中球, 2.リンパ球、C-低分葉核好中球、D-輪状核好中球、E-1.桿状核好中球,2.分葉核好中球, 3.桿状核球(巨大化), 4.小リンパ球、F.単球、G.単球(分葉化)

【解説】
A.細胞径13μmの核糸を有する三分葉核好中球と思われます。一見、二分葉核ですが、左側の核に折り重なりがみえそうで三分葉核として捉えました。

B-1.二分葉核好中球ですが、核糸は極細で伸びすぎ状態、核を支える架橋に不安定さを感じます。分裂時に発生した形態異常として捉えました。2.は13μm大、核形不整は軽度でクロマチンはやや繊細、細胞質に軽度の好塩基性とアズール顆粒を有することより顆粒リンパ球に同定しました。

C.D.は両者とも13μm大、細胞質には好中性顆粒を認めることで好中球と思われます。C.はクロマチンの凝縮塊が強度で、低分葉核好中球(偽ペルゲル核)に同定しました。D.は輪状核好中球に同定しました。両者とも、核の分葉化や桿状化になるべきところ、遅れをとった好中球の形態異常と思われます。 

E-1.2.両者は重なり合い少々小さくなってみえますが、1.は桿状核好中球、2.は分葉核好中球です。3.は形状と核質の状態から桿状核球と思われますが、1.に比べれば17μmと大きいことから巨大桿状核球に同定しました。DNA合成障害などが起ったのでしょうか、形態異常として捉えます。4.は11μm大の小型で、円形核とクロマチン網工の粗剛、そして細胞質の強度の好塩基性から小リンパ球に同定しました。

F.細胞径15μm大、この系統にしては小型です。クロマチン網工はやや繊細で核内への湾入が僅かにみられ、細胞質は通常より濃い灰青色ですが単球に同定しました。

G.細胞径22μm大の大型ですが全体的に伸びきった感じがします。クロマチン網工は繊細のようで、核は分葉傾向にあり、細胞質はまだらな好塩基性と空胞が顕著であることより核の分葉した単球に同定しました。本来、単球は核形不整が特徴的ですが、強度の核分葉化は形態異常として捉えたいものです。



問題 2

   1~5歳.男児。貧血、出血傾向を主訴に来院され、ダウン様の顔貌がみられました。

【解説】

(PB-MG×400)

(BM-MG×1000)

(BM-MG/BM-PO×1000)

(BM-ACP/A-EST×1000)

正球性正色素性貧血(MCV99.4fL、MCHC33.3g/dL)、血小板減少(1.4万/μL)のもと、白血球増加(41,500/μL)がみられ、白血球分類では、芽球が66%と増加していました。

(A)末梢血の芽球は小型~大型で、濃染状核と淡染状核の混在がみられました。
(B)骨髄は正形成(18.6万/μL)で、芽球は83%と増加していました。それらのN/C比は高く核形不整が軽度で、クロマチン網工はやや繊細と粗顆粒状のものがみられ、一部には水疱状の突起を認めました。
(C)骨髄の芽球はPO染色に陰性、(D)PAS染色に陰性でした。
(E)ACP染色はびまん性の強陽性でした。(F)アセテートEST染色にびまん性の陽性を示しましたが、ブチレートEST染色は陰性でした。

【関連検査】
免疫形質:CD7・CD13・CD33・CD41・CD42・CD61(陽性)、HLA-DR(弱陽性)
染色体・遺伝子検査:47,XY,+21/ GATA1遺伝子(陽性)

【臨床診断】
末梢血と骨髄の芽球は上述した二つの染色性を示し、一部に水疱状や蕾状の突起を有するものでした。
それらは、PO染色に陰性で、免疫形質では血小板系のマーカーを呈していたことから急性巨核芽球性白血病(M7)と診断されました。M7の芽球は、細胞質にか細い突起物や異なる二つの染色性を有する芽球の出現とT細胞マーカーのCD7、また、骨髄系マーカーのCD13とCD33の陽性がよくみられます。尚、小児ではダウン症の併発も経験します。本例でもダウン症を併発していたため、WHO分類(2008)ではダウン症に伴う骨髄性白血病として、一過性異常骨髄増殖症(TAM)と共に、「ダウン症に伴う骨髄増殖」に分類されるようです。
4歳未満のダウン症候群のAMLは、約70%がM7とも言われ、非ダウン症児におけるM7の発症率が3~6%とされるので対照的です。また、ダウン児に発症するM7は、GATA1遺伝子変異が陽性で、他のM7にない特有な特徴を有するといわれます(Greene ME,etal.2003、Magalhaes IQ,et al.2006)。上述した自然寛解するTAMとはよく類似しているため鑑別には十分に配慮すべきことになります。



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